「下仁田ねぎ」は今が最高 第1章 うんちく編

私がいつも走るドサ回りのコースなのですが、長野県から群馬県に向かって走っていると、碓氷峠を越えたところに横川駅があります。

現在は終着駅となっていますが、かつては横川駅から碓氷峠を越えて軽井沢駅へと向かう線路があり、アプト式という歯車のついた補機を連結して碓氷峠の急勾配を登り下りしていました。



その連結・解結の停車時間を利用して乗客が購入していたのが駅弁峠の釜飯です。現在は国道18号線沿いにその製造元おぎのやドライブインがあり、また、上信越自動車道の横川SA上り線でも購入することができます。



横川SAを過ぎると、高速道路はコンニャクとネギで有名な下仁田IC、世界遺産暫定リスト追加登載候補地として国内決定した富岡製糸場のある富岡ICへと続きます。

前置きがとても長くなって何の話をしようとしていたのか自分でも忘れそうになりました。(笑)
今日はこの釜飯のお話でも製糸場のお話でもありません。




実は関西では非常に手に入りにくい「下仁田ねぎ」のお話です。 というのも、今日たまたまスーパーで、「九条ねぎ」や「岩津ねぎ」に混じってこの群馬直送の下仁田ねぎ」をみつけたからです。近くのスーパーでこの高級野菜「下仁田ねぎ」を売っているのを見るのは、とてもめずらしいことです。

どうですか。画像をクリックしてこの太さを見て下さい。

関西には、関東に多い根深ねぎ(白ねぎ)と関西に多い葉ねぎ(青ねぎ)の両方の特長を合わせ持った「岩津ねぎ」が兵庫県の中央山間部、朝来(あさご)町にあります。

江戸時代にこの土地の役人が「九条ねぎ」の種を持ち帰ったのが始まりで、気温が低く深い砂質の土壌と豊富な地下水のある土地で、白ねぎのように土寄せをして栽培をしている間に変化し、白根の部分も肉厚の青葉の部分もみずみずしく食べられるようになったようです。




一方、根深ねぎの一種であるこの「下仁田ねぎ」は甘楽郡下仁田町から前出の富岡地区で栽培・収穫されたものを差しますが、流通量が少なく高値でもあり、関東周辺までが主な流通地域のようです。

下仁田ねぎ」は、種まきから収穫までに約1年以上掛かりますが、冬場には新芽のまわりの土が霜に持ち上げられるので、その隙間を踏み締める土踏みの作業をします。また、株分かれ(分げつ)の少ない一本ネギで、土寄せをした葉鞘の白い部分は直径4cm以上の太さになります。

収穫時期は短く、11月〜1月にかけて出荷されますが、冬の冷え込みが厳しくなるほど味のほうはどんどん甘く、美味しくなります。これは葉の裏側に透明でドロッとしたムチンという粘液が増えるためで、この糖とたんぱく質からなるムチンは寒さが厳しくなるほど葉の空洞がなくなるくらい増えます。

今の時期、長く伸びた青葉の部分は霜にあたり枯れてきますが、「下仁田ねぎ」はこの時期が最高に美味しくなります。そして真ん中から青葉の新芽が出てきます。この短い新芽にはムチンがギュッと詰まっており、生でかじると辛くて食べられないほどですが、熱をかけると分解されまろやかな甘味に変わります。

これがまたなんとも言えず美味しいんです。

この上の第2章に続きます。