全世界の期待を背負って・・・
第44代アメリカ合衆国大統領の就任式が、20日正午(日本時間21日午前2時)より始まり、「変革」をアピールした黒人初の大統領が誕生しました。
過去には、2001年1月にコリン・パウエル氏が黒人初の国務長官として、また2005年1月にコンドリーザ・ライス氏が黒人女性初の国務長官として起用されましたが、ついにバラク・オバマ氏(47歳)が黒人初の大統領として就任しました。
支持率は80%。この日ワシントンには全米各地から100万人を超える民衆が集結。「Yes, We can!」を掲げてオバマ熱が世界中を席巻します。
「ありがとう! 親愛なる国民の皆さま・・・」で始まった演説は、約19分。
「すべては平等である・・・60年前にはレストランに入ることも許されなかった父親を持つ男が、最も神聖な宣誓を行うためにあなた方の前に立っている、これがわれわれの自由と信念なのだ」と語りました。
「恐れではなく『希望』を、争いではなく『団結』を望んでいる」と強調した演説の骨子は――
米国は危機のまっただ中にある。だが、米国はそれを克服できる。今日から米国の再生に取りかかる。
米国は世界で最も繁栄した強い国家であり続ける。
米国は新時代の平和を構築していく。イスラム社会との新たな関係を進めていく。責任ある形でイラクから撤退する。アフガニスタンの平和を目指す。
核の脅威を削減する。
今米国に必要なのは新たな責任の時代である。世界への義務がある。
また、「政府の大小ではなく機能するかどうかが問題である」とも・・・。
「ホワイトハウスの意思決定が議論もなく行われ、右へ倣えとなるのは危険である」と、オバマ氏は政権運営にライバルを積極的に起用しています。
副大統領には1988年、2008年の2度民主党の大統領指名争いに出馬したが敗れているジョセフ・バイデン氏を起用。政権運営のカギを握る議会対策において党派を超えた人脈で実力を発揮しそうです。
国務長官には民主党大統領候補を争ったヒラリー・クリントン氏を、国防長官には共和党のブッシュ政権から続投となるゲーツ氏を、また国家安全保障担当補佐官にはマケイン共和党上院議員の親友で元海兵隊大将のジョーンズ氏を起用しました。
そして好感度80%近くに達する支持率の裏には米国民の新政権による経済の立て直しが期待されています。
その経済の立て直しには、クリントン政権での実務経験を重視して、財務長官ガイトナー氏、国家経済会議議長にサマーズ氏を据えました。更にクリントン政権につながりのある人材では司法長官にホルダー氏、首席補佐官にエマニュエル氏が起用されています。
黒人、ヒスパニック系、アジア系の少数派も積極的に起用し、今回新たに特命ポストとして経済回復諮問会議議長、エネルギー・気候変動調整官を新設しました。
新政権が強力な布陣で政権運営にあたり、米国の経済の再建にとどまらず、世界の経済金融危機を一時も早く克服できる日を待ちたいと思います。
「Yes, You can」・・・全世界が期待しています。
写真:ロイター
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