ふるさと納税 自腹分は5千円ですまないかも・・

このすぐ下の記事にも書きましたが、ふるさと納税とは、都道府県や市町村に対する寄附制度で、寄附した金額のうち5千円を超える部分について確定申告によって住民税の控除が受けられるというものです。

すなわち、5千円は自腹、残りは自分の収めている自治体の住民税から差っ引いてその分を寄附したい地方公共団体自治体へ移行すると考えたらいいと思います。寄附する先は別に自分のふるさとには限りません。

しかし、控除を受けるにはいくつか条件があり、控除対象となるのは、先ず5千円を超える部分が個人住民税所得割額の1割までとなっていることです。


4人家族で年収740万円のAさんを例にとって見てみましょう。(下の住民税の計算方法を参考にして下さい。)

Aさんは5万円を寄附したとしましょう。

先ず5千円は控除の対象外ですから、控除対象額は、4万5千円です。これをを所得税と住民税に分けて控除することになります。

所得税のほうから控除される額は課税給与所得金額が195万円以下なら5%、330万以下は10%、695万円以下は20%・・・となり、Aさんの場合は課税所得金額が3,291,000円ですから税率は10%が適用されます。従って、所得税から控除される額は、控除額全体(45,000円)の10%で4,500円となります。

そして住民税のほうから控除される額は、所得税として控除される額(Aさんは4,500円)を引いた残りの40,500円になります。この額は、さらに基本控除額(控除額全体の10%=4,500円)と、特例控除額(基本控除額を引いた残り=36,000円)に分けられています。住民税の基本税率は、平成19年から一律10%になりましたから、所得税のように10%、20%・・・と変わることはありません。

控除対象となるのは、先ず5000円を超える部分が個人住民税所得割額の1割までです。具体的に言えば、課税給与所得の税率が、10%の時は80%(個人負担分の5,000円を引いた残りの45,000円x80%=36,000円)が、また20%の時は70%(同45,000円x70%=31,500円)が特例控除額となります。

Aさんの場合の所得割税額は326,600円ですからこれの1割は32,660円です。特例控除額は所得割額の1割以内とされているので、Aさんは3,340円オーバー(32,660−36,000)します。すなわち5万円寄附すると、Aさんの自己負担額は5,000円ではなく8,340円となります。

Aさんは寄付額が4万円以下でないと、自己負担額が5千円では収まらないことになります。


下は寄附金額が4万円の場合の概念図です。

|←――――――――寄附金40,000円――――――――→|
 . . . . . . . . . . . . . . . . ↓

所得税から控除→←住民税から控除.|←対象外→|
 . . . 3500円. . . . . . 基本控除額 3,500円 . .5,000円
 . . . . . . . .. . . . . .特例控除額28,000円
 . . . . . . . . . . . . . . . . . . .↑
 (この特例控除額が所得割税額の1割を超えると自己負担となる)


おわかり頂けましたか?

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ついでですから、住民税の税計算方法を書いておきましょう。

住民税は、所得割税額と均等割税額を足したものから成り立っています。そして、住民税は全国一律です。強いて言えば自治体によって県民税の均等割に追加される1000円前後の森林環境税等の増減があるだけです。

神戸市に住むAさんの場合を例にとり、住民税を計算してみます。

家族構成は4人(Aさんと無職の妻、高校生の長男と中学生の長女)です。給与収入は740万円、社会保険料が70万円、生命保険料が4万5千円とします。


1,所得金額を計算します。
 先ず給与所得控除額を計算します。
 . 収入金額が660万円を超え1,000万円以下の場合は、年収金額の10%に
 . 120万円を加えた額なで、
 . 7,400,000円 × 10% + 1,200,000円 = 1,940,000円 となります。

 . 総所得額(給与収入)から、この給与所得控除額を引きます。
 . 7,400,000円 − 1,940,000円 = 5,460,000円
 . 所得金額は、5,460,000円です。

2.課税所得金額を計算します。
 先ず課税所得控除額を計算します。
 . 1 社会保険料控除額 700,000円
 . 2 生命保険料控除額 28,750円
 . . (45,000円 x 1/4 + 17,500円←保険料が4万円超7万円以下のときの計算式)
 . 3 配偶者控除額 330,000円
 . 4 扶養控除額 780,000円
 . . (高校生の長男は16歳以上23歳未満なので特定扶養親族の控除45万円が
 . . 適用、中学生の長女は一般の扶養控除33万円)
 . 5 基礎控除額 330,000円
 所得金額からこれら5つの合計2,168,750円を差し引きます。
 5,460,000円 − 2,168,750円 = 3,291,250円 
 課税所得金額は、千円未満を切り捨てるので、3,291,000円となります。

 この課税所得金額3,291,000円をもとに、以下の住民税の算出を行います。


3.住民税を算出します。
 Aさんは、神戸市内に住所がありますので、所得割と均等割を納めます。
 まず、所得割税額(県民税と市民税で10%)を算出します。
 . ・ 県民税・・・3,291,000円 × 4% = 131,640円
 . ・ 市民税・・・3,291,000円 × 6% = 197,460円
 . 
 . 所得割り額はこの2つの合計329,100円の100円未満(今回はありません)を
 . 切り捨て、そこから 調整控除の2,500円を差し引いたものです。
 . (a)所得割税額は326,600円となります。調整控除とは、平成19年から税源移譲が実施されましたが、所得税と個人住民税では、基礎控除配偶者控除等の人的控除額に差があるため、税源移譲の前後で負担が変わらないようするための控除です。

 次に均等割を計算します。
 . ・ 県民税・・・1,800円(神戸市の場合、森林緑税の800円が含まれています)
 . ・ 市民税・・・3,000円
 . (b)均等割税額は4,800円です。


住民税は、所得割税額(a)と均等割税額(b)を足したものとなります。
 . (a)326,600円 + (b)4,800円 = 331,400円

したがって、 Aさんの住民税額は 331,400円です。