日射病 と 熱中症
8月の月初のご挨拶の中で、「つい最近まで日射病と言われていましたが、今は熱中症と言われますね。皆様もどうぞ熱中症にご注意を・・・」と、書きました。
ところで、日射病と熱中症、あるいは熱射病の違い、わかりますか? また、どうして日射病と言わなくなったのでしょう。
一言で言うと、「日射病」は、「熱射病」の一部の条件限定症状であり、熱射病は「熱中症」の4つの症状の中の一つを言います。
ツリー表示(図示)すると次のようになります。
熱中症=高熱の環境下での体温調整の傷害によって起こる障害の総称
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|―熱失神=高温や直射日光によって血管が拡張し、血圧が下がること
| . . . . . によって生じる
|―熱けいれん=汗をかいた時、水分と一緒に塩分も失われ、血液中の
| . . . . . 塩分が低くなり過ぎて起こる症状
|―熱疲労=体内の水分や塩分不足、いわゆる脱水症状によるもの
| . . . . . 熱射病の前段階ともいわれる
|―熱射病=体温の上昇によって中枢機能に異常をきたし、意識障害が
. . . | . . おこる状態
. . . |―日射病=熱射病のうち太陽光が熱源になっているもの
すなわち――
「熱中症」とは、高熱の環境下での体温調整の傷害によって起こる障害の総称なのです。
「熱射病」は、体温の上昇によって中枢機能に異常をきたした状態で、意識障害(反応が鈍い、言動がおかしい、意識がない)がおこり、死亡事故につながるので極めて緊急に対処し、救急車を手配する必要があります。
「日射病」は、「熱射病」の中の「太陽光が熱源になっているもの」を言い、炎天下に長時間さらされたり、直射日光下で重労働や運動をしたときなどに起こります。
「日射病」ではなく、「熱中症」と言われるようになった理由としては――
核家族や一人暮らしの老人たちが増えている現代社会において、家の中で原因が分からず倒れているお年寄りが病院で初めて高温による体温調節の障害と診断されることもあり、更には高温多湿の複雑な気候変化が原因となり必ずしも炎天下の高熱が原因となる症状が原因でない場合もあり、そんな複雑な状況のもと、最近では「日射病」と範囲を限定せず、広義の「熱中症」という言葉を総称的に使うようになって来たのではないかと考えられます。
ご参考までに
熱中症の予防方法
? 外出時は適度に冷所で休憩を取るようにしましょう。睡眠不足や風邪ぎみなど、体調の悪いときは暑い日中の外出や運動を控えましょう。
?吸湿性、通気性のよい衣類を着て、外出時には帽子をかぶるなど服装に注意をしましょう。
?夏場は汗と一緒に塩分が失われているのでスポーツドリンクなどでこまめに水分を補給しましょう。「のどが渇いた」と感じたときには、すでにかなりの水分不足になっています。
?のどが渇いたからと言ってビールを飲むのは大間違いです。ビールに限らずお酒をのみすぎないようにしましょう。またお酒を飲んだ後は水分補給を忘れずに!
?身体機能の発育途中の子どもや、体力が衰えはじめた高齢者は熱中症になりやすいので自分の年齢も考えておきましょう。