痛ましい事故に・・・

昨日から今日にかけて北近畿と北陸の大雨洪水警報を報せるテロップが、少しずつその場所を変えながら、ひっきりなしにテレビの画面の片隅に流れていました。そして、テレビのニュースでは、石川県金沢市の大雨洪水による河川氾濫の映像が映し出されておりました。

この日の神戸は朝からうだるような暑さで、我が家の近くにある神戸市の施設では、担当者がホールの鍵を開けながら「今日は朝から暑すぎるから休館日にしよう」と冗談をいうほどで、私はというと夕べ植木に水を撒いたのですが鉢物は既に渇き上がり、門前の街路樹とともに朝からたっぷりと散水に勤しむ始末です。

実は、家内が銀行に行かなければならない用事があったのですが、あまりの暑さにもう少し後で、もう少し後でと先延ばしをしている間にもう2時になってしまいました。

その間にもテレビのテロップは大雨洪水雷警報の場所を北陸・北近畿から徐々に南に移し、午後2時には大阪もこの範囲に入っていましたが、神戸は相変わらずジリジリと照りつける太陽に呵まされておりました。

家内の銀行行きはそろそろタイムリミットに近づいており、仕方なく日傘を持って外に出はしましたが北東の空が黒く、家内は「なんだか大阪には警報も出てるって言うし明日にしようかな」と言ったのですが、私は安易に「行きは暑いかもしれないけれど、帰りは一雨降って涼しいかもしれないよ」と背中を押してしまいました。

その言葉に押され、彼女は出掛けて行きましたが、その直後に六甲山の向こうから真っ黒い雨雲が張り出してきてポツポツ来たかと思った瞬間、雷鳴と共に土砂降りの豪雨に見舞われ街は真っ暗になりました。

まったく数分前の汗だくの強い日射しが嘘のようです。もう家内は銀行にはついているでしょうから、雨には当たっていないと思いますが、それにしても街並みをかき消すような1時間に何十ミリもの落雷を伴った大雨でした。

私はとりあえずパソコンの電源をすべて落とし、ルーターの電源も落としました。そうこうしている間に家内からメールが入ってきて、銀行の隣に併設されたATMが落雷により一時停止してしまい回復するまで待たされていると連絡がありました。

5時近くになり雨も雷も小康状態となり、家内も用事を済ませて帰ってまいりました。

その後テレビのニュースで、神戸で1時間に31.5ミリと7月としてはこの10年間で最多の雨量で、私たちの隣りの灘区では川遊び中の児童ら4人が濁流に呑み込まれ死亡したことを知りました。

六甲山と大阪湾に挟まれた神戸の街に流れる川は、過去の神戸大水害の教訓からすべて護岸工事がなされていて、その勾配はどの川も急で、事故のあった都賀川は、六甲山系の2つの川の合流地点から始まり、そこから河口までの1.8kmの高低差は50mあります。この川の水位が10分間で1.34m急上昇しました。この川の上流に設置してある雨量計では午後2時40分から3時までの20分で約30ミリを記録したそうです。

学童保育で普段はわずか数十センチしかない水深の浅い都賀川に川遊びに来ていた子供たちは、急な土砂降りに橋の下で一時雨宿りをしたのが災いして、一瞬にして水かさが増した流れは子供の背丈までに達し、一気に激流に呑み込まれてしまったようです。

痛ましい事故になんと言ったらいいか言葉が見つかりませんが、この豪雨でお亡くなりになられたお子さんたち3人と、3人のうちの1人を迎えに行って被害に巻き込まれた叔母さん(29)に、心よりお悔やみを申し上げます。

それにしても、私は家内が出迷っている時に、安易に背中を押すような声をかけてしまいましたが、もしこれが取り返しがつかないようなことにつながってしまっていたら――と、考えた時、自分の思慮のない言葉と、それが原因となってヒョッとして家内に降りかかったかもしれない災難を考えてゾッとしたものです。そして何事もなく帰ってきた家内の顔を見てホッとしたものです。

事故がおこる原因や予兆は必ずあるものです。そしてその予兆を事前に見逃してしまったり、安易に考えて見過ごしてしまった時、事故は起きます。 起こるべくして起きるものなのですね。 

今日の神戸は朝から曇天で暗雲がたれ込めています。あたかも昨日の痛ましい事故を追悼しているかのように・・・。



ちょっと豆知識
1時間の雨量と人が受けるイメージ(気象庁)

20〜30mm未満 強い雨 . . . . . .土砂降り

30〜50mm未満 激しい雨 . . . . ..バケツをひっくり返したような雨

50〜80mm未満 非常に激しい雨 . 滝のような雨

80mm以上  . . 猛烈な雨 . . . . 息苦しい圧迫感のある雨