なぬ? 工場が最大の被害者だって?

テレビのニュース番組から、なんだか怒鳴り声が聞こえてきます。

日本語じゃありません。

どうやら中国語です。でもいつも聞くような語調ではないのです。憤ったヒステリックな怒鳴り声のようです。

例の冷凍ギョーザ中毒事件で製造元の天洋食品が工場内部を日本側に公開し、工場長が記者会見をしている時の様子のようです。

字幕を見ていると、以前から強調している安全管理を主張し、有機リン系の殺虫剤「メタミドホス」の工場内での製品混入はあり得ないと宣(のたま)っています。

あれは一体なんですか?

究極の発言は、「経済面の損失はもとより、会社の名声も大きく傷つけられた。最大の被害者は我々工場である」と強調していることです。

もちろん、「日本の消費者をお見舞いしたい」と冒頭で述べてはいましたが、あの甲高いヒステリックな語調で、ほとんど原稿から目を離すことなく喋る様は中国語がわからない私をして、「何をこきゃあがる」(汚い言葉^^;;)と言わしめるほどの狂ったような話しぶりでした。




そもそも、1月30日に新聞テレビでこのギョーザ中毒事件が報じられたときの中国政府の対応は早く、その発言にもそれなりの評価をしたものですが、肝心の天洋食品はというと、工場の入り口の扉をかたく閉ざし、始めて記者会見を行ったのは事件が報じられて既に4日も経ってからのことでした。

「工場が被害者」と言う前に、速やかに情報公開をして企業としての説明責任を果たすべきが製造者に科せられた義務ではないでしょうか。

日本の企業がすべて盤石とは言いませんが、記者会見でこんな無謀な発言をすることはあり得ません。少なくともこの天洋食品よりは危機管理がなされていると思います。特にこの天洋食品は、昔の国営公司の流れを強く引いている企業と聞きます。かつての上から押さえる体質がどこかに残っているのでしょうか。

先日、こうめいさんの記事にこのギョーザ問題がアップされていました。

私はその記事に、「中国(政府)側は、自分たちの過去の教育で日本を良く思っていない反日分子の仕業と言っているのですから、後はもう向こうにまかせて、メディアはこれ以上騒ぎ立てない方がいいと思いますね」とコメントを書き残しました。

しかし、この天洋食品の工場長の発言を聞いていると、この状況下において、いまだこのような発言を繰り返すことは、企業のとるべき態度としては空恐ろしいものさえ感じます。






写真1=中国河北省石家荘市内のホテルで記者会見する「天洋食品」の底夢路工場長=15日午後(共同)
写真2=報道関係者に公開した天洋食品工場内のギョーザを包装する作業台=15日、中国河北省〔共同〕