ずさんな食品安全規制には悩まされます

3月の半ばにアメリカでペットフードを食べた犬や猫が死ぬ事故が相次ぐと読売新聞の記事にありました。

カナダのメニューフーズ社が製造したペットフードからプラスチックや化学物質のメラミンが検出され大規模なリコールに発展したというニュースでした。

原料の中国産小麦グルテンに混入されていたらしいですが、メラミンは窒素を多く含有していることからメラミンを添加することで蛋白質の含有量を多く見せて栄養価が高いと判断される事を狙って意図的に混入されたようです。

メニューフーズ社がOEM生産をしている製品は100種以上あり、P&Gや、ウォルマート・ストアーズが販売しているストアブランドのペットフードなど、リコール対象は6000万食に及び、更には同じ中国産グルテンを使用していた大手ペットフード会社ヒルズ・ペット・ニュートリション、ネスレ・ピュリナ・ペット・ケア、デルモンテ・ペット・プロダクツの3社にも拡大しました。

米食品医薬品局(FDA)は今回問題になっている中国産小麦グルテン輸入禁止とし、中国から輸入されたコーンミール、大豆ミール、コーングルテン、米グルテン(濃縮コメたんぱく物)、コメぬかの6品目を検査対象とすると発表しました。

これらの食品添加物は、ベビーフードやパン、ビール、豆乳などに幅広く使われており、人間用の食品に使われたグルテンにも混入がなかったかどうか、引き続き調べているようです。

ところが、4月27日の産経新聞5月2日の日経新聞には、カリフォルニア州食用の豚の尿からメラミンが検出され6千頭が屠畜(とちく)処分されたという記事がありました。

リコールで自主回収されたペットフードの一部が7州の養豚場に豚の飼料として運ばれて、その化学物質が混入した飼料を食べた約6千頭のうち数百頭が食料用に加工され、流通した可能性があるといいいます。

問題があって回収された不要のペットフードが、なぜ食料用の豚の飼料に転用されたのか、日本では考えられないことですが、そのアメリカのずさんさな管理が、日本の輸入する米牛肉にも同じ事がいえるわけで、昨今のBSEの禁止部位混入のトラブルにつながってくるのでしょう。

中国産の食品の安全性をめぐっては、日本でも、ダスキンが運営するドーナツチェーン店「ミスタードーナツ」で、日本で使用が認められていない添加物(酸化防止剤t−ブチルヒドロキノン:TBHQ)が添加された中国産肉まんが販売された食品衛生法違反事件や、基準値を超える農薬(パラチオン1.1ppm:基準値は0.3ppm)が検出された中国産冷凍ホウレンソウの残留農薬問題などがあります。

中国の食品安全規制についても、そのずさんさにはこれからもますます悩まされそうです。






写真:NIKKEI NET世界街めぐり(米国) 「ニューヨークの愛犬・愛猫家、ペットフードのリコールに動揺」からナディア・ロンチさんと愛犬のマカロニ(茶色)とピクルス(白黒):2007/04/27








米で毒物混入ペット食騒ぎ、中国産小麦から有害物質(読売新聞)3月31日(土)10:30 【ワシントン=増満浩志】北米で毒物の混入したペットフードによって犬とネコ十数匹が急死し、メーカーが6千万食の回収に乗り出す騒ぎとなっている。

 米食品医薬品局(FDA)は30日、原料の中国産小麦グルテンに化学物質メラミンが含まれていたと発表した。人間用の食品に使われたグルテンにも混入がなかったかどうか、引き続き調べている。

 ペットフードは、カナダのメニューフーズ社が製造。グルテンのほか、死んだネコの腎臓からもメラミンが検出された。メラミンは合成樹脂の原料で、アジアでは肥料としても使われるが、ペット食品への含有は禁じられているという。

 ただ、23日にはニューヨーク州当局が「殺そ剤のアミノプテリンを製品から検出した」と発表している。メラミンの毒性があまり高くないこともあり、原因物質はまだ特定されていない。


米、中国産食品への不安高まる・ペットフードの原料日経新聞)5月2日(水)16:01 米国で中国産原料を含むペットフードが原因で犬や猫などが死ぬ事故が相次いでいる。米食品医薬品局(FDA)はメーカーに対象製品の回収を指示。これをきっかけに中国産食品への不安が高まっている。

 ペットの死因とみられる化学物質はプラスチックや化学肥料の原料の「メラミン」。カナダのペットフード大手メニュー・フーズが使っていた中国産小麦グルテンに含まれていたことが分かり、同社は商品の自主回収を迫られた。ほかのペットフードメーカーが使う中国産のコメやトウモロコシの加工品にも同じ物質が含まれていることが判明。回収対象は広がりつつある。



中国産飼料に化学物質 米、食べた豚の流通禁止産経新聞)4月27日(金)16:10 【ワシントン=渡辺浩生】米食品医薬品局(FDA)は26日、カリフォルニアやニューヨークなど7州の養豚場で、化学物質が混入した飼料を食べた豚の一部が食品として流通していた可能性があると発表した。問題の飼料は中国から輸入した米グルテン(米タンパク質濃縮物)が原料。人体への影響は低いとしているが、FDAは同じ飼料を食べた豚の流通を禁止するとともに、中国での現地調査を検討している。

 中国から輸入された米グルテンをめぐっては、原料にしたペットフードを食べた犬猫が相次いで死んでしまい、3月半ばにカナダのペットフードメーカーが自主回収を発表。化学物質のメラミンが混入していたことが判明し、FDAは4月初旬、中国からの輸入を禁止している。

 しかし、不要となったペットフードの一部が7州の養豚場に豚の飼料として運ばれたことが判明。約6000頭が食べたとみられ、数百頭が食料用に加工、流通した可能性があるという。