今年も作ることが出来たことを神様に感謝して

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今年は困りました。
例年「くぎ煮」を作っていたイカナゴが神戸の海にいないんです。
まったくいないわけではありませんが、とても少なく、なかなか手に入らないのです。鮮魚の値段も3倍近くに跳ね上がりました。


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形も悪く、はじめのころは魚自体の水気も多く柔らかすぎて、焚いてもドロドロになる始末です。

それでも、せっせ、せっせと市場に通い詰め、なんとか例年の数量は確保出来ました。
そんなわけで、材料費も 数万円は跳ね上がり、それだけつぎ込んだにも拘わらず、出来上がりは例年に比べ今一かもしれません。



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正直言って、duo家のイカナゴ作りは大変です。凝り性のduoさんちです。イカナゴの産地はもとより、イカナゴ以外の副資材にもかなりの力を入れています。内装紙から容器、包装紙、ラベル、そして副調味料に至るまで凝りに凝ります。表ラベルから裏ラベル、賞味期限までつけて、お店屋さんも顔負けで、まるで有名老舗店から買ってきたような意匠です。 その送る数も30箱以上となり、全部完了した
ときには二人共もうヘトヘトです。



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でも、家内と話しました。

私たち夫婦のどちらか一方が病気になっても、また仕事の方がうまく行かなくなっても、この「イカナゴくぎ煮」作りは出来なくなるのだから、例えイカナゴの入荷量が少なくて玉集めに時間と労力を費やしても、材料費が高くついてお金がかかろうとも、今年も作ることが出来たことを神様に感謝しなければね。 って・・・



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それに、どんなに大変でも、何にも増してこれを待っていて下さる遠くの親戚や知人、友人の方たちがいることを喜ばなくてはいけない。 って・・・

そんな思いで今年も18キロを炊きあげました。そして、いつも入れている栞とは別に、言い訳タラタラのお便りをつけて送りました。(笑) 

喜んでくれるといいな。


おっかさんがこの記事の下書きを見て、上の赤字のところにツッコミを入れてきました。 
 「夫婦ゲンカしていても作られないものね」 って・・・。 そりゃ、そうだ。 (笑)



一緒に添えたお手紙です。
 今年はいません。 旬の魚がいないんです。

 三月はじめに富山でホタルイカが解禁になって、四十隻もの漁船が操業しましたが、初日の水揚げは、なんと、たったの九尾でした。数年前は初日だけで十三トンも揚がったあの小さなホタルイカが、今年はたったの九尾だなんてとても信じられませんでした。

 ところが、こちら瀬戸内も同じ状況なのです。ホタルイカほどではありませんが、明石海峡イカナゴがいません。

 播磨灘の魚の瀬(うおのせ)でふ化した新子(稚魚)は、西風に吹かれて明石海峡にやってくるのですが、今年は異常気象で水温が高かったため、ふ化した場所から動こうとせず、その場で大きな魚の餌となってしまったようです。

 市場へ行っても入荷のない日も多く、かといって、予約を受け付けてもくれず、昼網の状況を都度電話をかけて聞きながら、漁に出ていると聞くと市場のイカナゴの陳列台の前で数時間も並んで待ち、僅かばかり入ってきた魚を、形(かた)を選ぶこともできぬまま、一人一キロから多くて二キロ割り当てられて買ってきます。

 鮮魚一キロで三〇〇グラム入りの製品を二箱分(醤油や砂糖の副原料が入っての二箱分なのでイカナゴの量としては一箱分強に目減りします)しか作ることができないので、先ず例年の数量を確保できるかどうかが心配でした。鮮魚の価格も買いに行くたびに数百円ずつ上がっていき、三月半ばにはすでに例年の倍以上に跳ね上がっており、まもなく浜値でもキロ二千円を超えるという声まで聞こえて来ました。

 今年の新子は気温が高かったせいか、形も不揃いで、水気が多くて身も柔らかく、なかなか例年のくぎ煮のようには仕上がらず、煮崩れてドロドロになる失敗を繰り返しました。

 それでもここへ来てやっと、ひとさまに差し上げられるような形(状態)のものが手に入り、例年のようには行きませんが、なんとか曲がりなりにもくぎ煮を作ることができましたので少々ですがお届け致します。

 今年の神戸からの春のたより、お口汚しではございますが、どうぞご笑味くださいませ。 
 . . . . . . . 平成十九年 さくら咲ころ

 . . . . . . . . . . . . . . 『duoさんちのイカナゴくぎ煮』舗
 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . duoさんちの主婦敬白



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