冥(?)運尽きた冥王星 〜 タロット占いは「破壊」「革命」

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8月18日の記事の続きです。


2004年10月23日17時56分、新潟県中越地方にM6.8の地震が発生しました。 その後も震度6強を複数回観測・・・

中越地震の発生以降、新潟のラジオ局などに「癒やされた」「聴いていて涙が出た」などの声が届き始め、地震ですさんだ心に、癒しと勇気と生きる力を与えた歌があります。

『 ひとりじゃない この宇宙(そら)の御胸(みむね)に抱かれて…
  …私たちはひとりじゃない ありのままでずっと愛されている… 』

平原綾香さんのアイデアをもとに、作詞家の吉元由美さんが、ホルスト組曲「惑星」の第4楽章「木星」に日本語の歌詞をつけた、壮大なスケール感に溢れた曲『ジュピター』です。




イギリスの作曲家ホルスト占星術をヒントにして、書き上げた管弦楽組曲「惑星」は、第一楽章の「火星」から始まり、最終楽章は「海王星」で終わっています。この作品が完成した1916年にはまだ「冥王星」は発見されていませんでした。

その後、1930年に米国のクライド・トンボーによって「冥王星」が発見されました。今までの9惑星のうち、アメリカで発見された星は「冥王星」だけです。

東芝EMIが今月23日に発売したCD「holst the planets」は、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団ホルスト組曲「惑星」の7楽章に、英国の作曲家マシューズが数年前に作曲した「冥王星」を加え、「冥王星つき」として8楽章にしています。





ところが、今月16日にプラハで開催されていた国際天文学連合会の委員会で、惑星を12個にする定義案が発表されましたが、議論が二転三転の末24日の総会では、天文学者7割の賛意を得て多数決により「冥王星」は矮惑星に降格、76年ぶりに太陽系惑星は8個に変更されました。

(写真)冥王星を太陽系の惑星から除外することを決めた国際天文学連合の総会=24日、プラハ(共同提供)





そもそも、米国が発見した唯一の惑星「冥王星」が発見当時の想像とは異なり、月よりも小さい星であることがその後の観測で判明、また、細長い軌道の一部が海王星と重なり、他の8惑星の公転面に対して大きく傾いていることから、多くの研究者が科学的な知見から「今見つかったら惑星には分類されない。惑星とするには無理がある」としていました。

これに慌てた米国は、発見を歴史に刻むためにも惑星の定義拡張を目指して、冥王星の衛星と考えられていた「カロン」、そして太陽から最も離れた軌道を回る新天体「2003UB313」、火星と木星の間にある「セレス」の3個の小さな星をも惑星と位置づけることで「冥王星」を守ろうとしたのが、ことの発端でした。



冥王星」の発見者クライド・トンボー(94歳)の奥さんは、今回の国際天文学連合会(IAU)の結論に「科学は進化している」と語っています。また、国際天文学連合・惑星定義委員会の一人、ビンツェル氏は「今後、画期的な発見があれば惑星の定義は再び変わるだろう。その日は遠くない」とも指摘しています。

トンボーの奥さんが言うように、確かに、科学は進化しています。1200年もの長い間信じられていた天動説も地動説に変わりました。地球は動くというコペルニクスが唱えた地動説を、ガレリオ・ガリレイが証明して有罪判決を受けましたが、ガリレイは「それでも地球は動く」と言った話は有名です。

ビンツェル氏は、観測技術などの急速な進化に対応して、定義や名称は常に見直していくべきとの認識を示しています。まさに科学は進歩しています。

タロット占いで「破壊」「革命」などの意味を持つ冥王星。今回の国際天文学連合が採択した定義案は、この冥王星が持つ「破壊」「革命」の意味そのものでした。







お勉強(惑星と矮惑星の定義)
 太陽系の惑星の定義
太陽の周りを回り、十分重いため自己の重力で球状となった天体で、軌道上または軌道近くに他の天体(衛星を除く)がない圧倒的に大きい天体

 (これは、近くにあった天体のほとんどを吸収して、軌道上で圧倒的に大きな重さを占めるようになった天体を意味し、定義の脚注で「水金地火木土天海」の8個のみと明記されました)

 矮惑星の定義
太陽の周りを回り、十分重いため球状ではあるが、軌道上又は軌道近くに他の天体が残っている衛星を除く天体

 (近くに同程度の小天体が多数見つかっている冥王星は、その代表と位置づけられました)







イメージ提供:国際天文学連合会など