K−JETの二の舞になるのは時間の問題?

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神戸空港関空ベイシャトルの就航1ヵ月間の搭乗率が今日の日本経済新聞に載っていました。

高速船就航1ヵ月 神戸空港関空 平均搭乗率12%

 神戸市の第三セクター海上アクセスが神戸空港関西国際空港間で運航する高速船の7月13日の運航再開から8月9日までの平均搭乗率は12.6%、1便当たりの平均利用者は約15人だった。

 同社や神戸市の予測では2006年度の搭乗率は約28%、利用者は計34万人、1便当たりの利用者は計30人で予測を大幅に下回った。
 
 利用者は16,371人だった。同社は06年度に関連事業を含め11億7800万円の収入を目指しているが達成は厳しそうだ。

 高速船を運行する加藤汽船(神戸市)への委託料や一般管理費、支払利息などの総費用は同年度で8億3千万円と見込んでいる。 (2006/8/12 日本経済新聞)




これをみると、1994年関空の開港に合わせて運航を開始した「K−JET」が2002年までの8年間に128億円の赤字を積み上げて同年休眠しましたが、今度も同じ神戸市の第三セクター「海上アクセス」が運航する「ベイシャトル」も「K−JET」の二の舞になる予感がします。
この負担がまた、神戸市民の税金から持って行かれるのでしょうか?

国土交通省神戸運輸管理部は、2004年11月に神戸市が考える海上アクセスの復活につき、その時の委員会の結論として、再開に否定的見解を発表しています。

これは市民社会フォーラム「神戸市17年度予算」からの抜粋です。

海上アクセス及び関連企業現状)

国土交通省神戸運輸管理部は、昨年(平成16年)11月に神戸市が考える海上アクセスの復活につき、神戸市みなと総局主幹を交えた委員会の結論として、「神戸港突堤神戸空港航路」「洲本港−神戸空港航路」「関西国際空港神戸空港航路」の3航路計画に対し、
「供給側からの事業シミュレーションでは、全ての航路において新規に航路を開設するには、少なくとも相当な努力が必要であるとの結果が得られた。今後、海上アクセス航路の開設必要性を検討していく場合、少なくとも以下のような課題をクリアしていくことが不可欠である」
として、再開に否定的見解を発表しています。

 海上アクセス株式会社》
 休眠会社(平成15年度決算) 債務超過会社
資本金35億円(神戸市出資9.68億円)
累積損失△158.34億円(資産4.62億円、負債127.97億円)

 《神戸航空交通ターミナル株式会社》
 休眠会社(平成15年度決算) 債務超過会社
(海上アクセス拠点(ポーアイ2期)のターミナル運営とターミナル−三ノ宮間のリムジンバス運行)
資本金23.8億円(神戸市出資10.27億円)
累積損失△29.67億円(資産1.38億円、負債7.25億円)

《神戸航空貨物ターミナル株式会社》
 休眠会社(平成15年度決算) 債務超過会社
(神戸−関空間の輸送基地(本社:六甲アイランド内))
資本金29.36億円(神戸市出資14.2億円)
累積損失△33.95億円(資産8.1億円、負債12.7億円)
(市民社会フォーラム「神戸市17年度予算」から)



その後の日本経済新聞の記事です。

神戸―関空結ぶ高速船、再開せず──神戸空港開港時、市三セクが方針

休眠状態の神戸市の第三セクター海上アクセスは神戸空港が開港する2006年2月時点では関西国際空港と神戸を結ぶ高速船の運航を再開しない方針を固めた。同社は神戸空港開港に合わせ、神戸空港関空、淡路島を海路で結ぶ計画を立てていたが、当面はバスとの競合が厳しいとみて運航休止を続け、06年度以降の再開を目指す。

今後、同社は運航コスト削減策や需要拡大の方法を詰めながら、06年度以降の運航再開のタイミングを探る。海上アクセスは1994年から神戸市と関空を結ぶ高速船を運航していた。ただバスとの競合で乗客数が低迷。02年に運航を休止し、その後、会社は休眠状態となっていた。
(2005/2/9 日本経済新聞)


そして2005年7月15日に、神戸市の第三セクター海上アクセス」は、「ベイシャトル」の運行を加藤汽船(神戸市)と年間5億9100万円で委託契約を結び、加藤汽船は120人乗りの新しい船2隻を調達し、神戸空港関空を約30分で結び、1日20往復運航することになりました。

神戸空港関空海上航路 加藤汽船が定期就航へ

 来年二月に開港する神戸空港関西国際空港を結ぶ高速船便の就航を決めた神戸市の第三セクター海上アクセス」は十四日、選定委員会を開き、運航委託先として地元の船会社、加藤汽船(神戸市)を選んだ。アクセス社が今月一日に締め切った公募に複数社が名乗りを上げていた。十五日の取締役会で正式決定する。(松井 元)
 加藤汽船は一九四九年設立、資本金千八百万円。二〇〇〇年まで関西汽船大阪市)と共同で、神戸経由の高松・小豆島―大阪間で高速船を運航していた実績がある。現在は神戸―高松港を結ぶジャンボフェリー(神戸市)に、フェリー船を貸与している。
 加藤汽船は、定員百二十人、総トン数八〇トン程度の高速船二隻を調達した上で、〇六年度中に運航を始める計画。
 市が今年六月に運航会社を公募した際、両港を三十分ほどで結ぶ▽一日二十便程度を運航する▽委託料は年間六億円以内―などを参入条件としていた。高速船は、新造船であればアクセス社が二〇年度までの分割払いで買い取る。
 アクセス社がポートアイランド関空間で運航していた「K―JET」は〇二年二月に廃止され、累積赤字百五十八億円が残る。同社は専門業者への運航委託などで採算性の向上を図る。
(2005/07/15 神戸新聞)





委託料金年間5億9100万円には、「海上アクセス」が15年賦払いで買い取る船の代金も含まれており、神戸空港は2006年2月に開港しますが、2006年7月13日より所要29分で、運航開始となりました。料金も片道料金1500円、ポートライナー三宮駅-神戸空港駅)とのセットで1600円と関空-三宮のリムジンバスよりも900円安く設定されています。 

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右上の写真は、神戸空港海上アクセスターミナルから関係者に
 . 見送られ出港する第一便です=13日午前6時半(神戸新聞提供)

そして、その初日は1便当たり平均32人の利用で採算ラインとされる29人を上回ったとの記事が日本経済新聞にありました。

海上アクセス、初日は採算ラインをぎりぎりクリア
 神戸市の第3セクター、海上アクセスは13日、関西国際空港神戸空港を結ぶ航路「神戸―関空ベイ・シャトル」で高速船の運航を始めた。初日の1便当たりの利用状況は平均約32人と採算ラインの29人を上回った。今後はバスなどとの競合が予想され集客力向上が課題となる。

 午後6時までの利用者は931人。神戸発が557人、関空発が374人だった。最も利用者が多かったのは神戸発午後1時30分の便で103人、最も少なかったのは神戸発午後4時30分の7人だった。1便の定員は120人。

 海上アクセスは船舶の運航を加藤汽船(神戸市)に委託。委託料は年約5億6000万円。1便当たりの利用者が29人だと、運賃収入は月約5200万円で収支トントンになるという。

 海上アクセスは1994年にポートアイランド関空の間の航路で高速船事業を始めたが、バスとの競合で02年に休止。06年3月期末で124億円の債務超過となった。
(2006/07/14 日本経済新聞


ここで一番最初の日本経済新聞の記事に戻りますが、7月13日の運行再開から8月9日までの約1ヵ月間の平均搭乗率は12.6%、1便当たりの平均利用者はたったの15人だったという事実です。

海外渡航、或いは国内線の乗り継ぎで神戸空港関空を利用する人はどれだけいるのでしょうか?出発地や目的地が神戸空港からの便しかない場合は利用して貰えるでしょうが、多くの場合は関空内での乗り継ぎでほとんど間に合います。とすると、ベイシャトルの利用者は、神戸に自宅がある人、或いは神戸に用事がある人に限られるでしょう。

神戸アクセスと神戸市が立てた2006年度の搭乗率約28%、1便当たりの利用者30人という予測を大幅に下回ってしまいました。採算ラインの1便当たり29人の数字すら大幅に下回り、この先いったいどうなるのでしょう。


市民税もどうなることでしょう? ・・・おぉ、こわ〜!