こんな古いシュレッダー見たことあります?

個人情報保護法が去年4月に施行されて以来、行政を始め、企業から学校まで個人の情報の取扱にピリピリしています。

中には過剰反応をし過ぎて、保護法に規定されている必要以上の保護を理由に開示を拒んだりして揉めるケースも起こっているようです。

今日の話題は個人情報保護法のお堅い話ではなく、事務用品のシュレッダーのお話です。

事務用品業界は、そんな個人情報を丸ごと粉砕するシュレッダーが花盛りです。今時のシュレッダーは、垂直方向(縦切り)と水平方向(横切り)の両切りで細かく粉砕し、情報の復元を不可能にし、且つ嵩も低くするように工夫されています。

その上、最新型ではCDからフロッピーディスクまで粉々に粉砕すると聞くと驚くばかりです。



さて、さて、前置きが長くなりました。


かれこれ30数年前になりますか? 小型のシュレッダーを買いました。当時シュレッダーは、大企業や銀行には大型のものが設置されており、なかなか小さい手軽なものが造られていませんでした。


メーカーは、ホッチキスで名高いあの『マックス』です。

カット出来る紙幅は当時の主流であるB5サイズでした。紙が詰まった時の反転などはついていませんでしたが、コピー用紙を5〜6枚重ねても軽くカットしてくれます。




カッターの隣にはカットしないで放り込める大きな投入口もついています。

そして何と言っても、時代を物語る代物がついているのです。




それは、さん孔(パンチ)テープの投入口です。当時文書の通信の手段は、今のようにファックス、メールなどの便利なメディアはなく、手紙のほかには、ケーブル(電報)とテレックスしかありませんでした。

初期のテレックスの仕組みは海外からの文書を受信したり、また発信するときは幅25mmほどの紙テープに無数のパンチ穴を開けて、丁度今の点字のような方式でアルファベットの文字を記録します。それを読み取り機にかけて発信したり受信したりするのです。

映画のフィルムのように巻き取られたさん孔テープは膨大な量で、受発信したあとは不要になりますが、この情報の塊は迂闊に処分できません。それを処分し、情報を読み取られなくするためのカット用投入口がこのシュレッダーにはついているのです。




現在、株式会社マックスにはシュレッダーの製造部門はありません。数年前に投入センサースイッチが動かなくなり、修理を依頼したのですが、対応された方は「弊社でシュレッダーなんか製造していたのですか?」と逆に質問されてしまいました。

仕方なく、自分で分解して修理し、今も機嫌良く動いてくれています。A4やB4サイズ、或いはCDやフロッピーディスクまで縦横に細かくカットできる最新のシュレッダーに憧れはありますが、まだまだ健在のこのマックスシュレッダーをお蔵入りにするには忍びなく、未だにいとおしんで現役で使わせて頂いております。