どっしりと・・・ おおらかな姿

ニキ・ド・サンファル

 . . 「白い踊るナナ」

・・・・・・・・・・・・・・・・・(栃木県・ニキ美術館蔵)


 これでもかとばかりに強調された太くて丸い脚、どどーんと飛び出た乳房、おなか、お尻。フランスの女性アーティスト、ニキ・ド・サンファル(1930-2002)の生み出す彫像は、どこかユーモラスで親しみやすい。 ニキがまるまると肥えた女性像≪ナナ≫のシリーズを生み出すまでには、苦しい心の遍歴があった。厳格な家庭に育った彼女は、修道院の学校に通うもののなじめず、逆に制度化されたキリスト教道徳や、そこに結びつく男性中心社会への疑念と不満を募らせていく。18歳で結婚するが、うまくいかず、重い神経衰弱を患って入院もしている。

 初期の作品は、そうした彼女自身の疑念と苦悩に満ちている。 

−中略−

 彼女に転機が訪れるのは1960年代半ば。友人の妊娠と出産に触発されて≪ナナ≫を制作し始める。どっしりと構え、おおらかに歌い踊る女性像。ポップでカラフルなその姿は、それまでの痛々しい女性像にはない喜びが溢れていた。産む性の豊穣なイメージの表現である。

 名古屋市美術館で開催中の 「ニキ・ド・サンファル展」 (15日まで)は、平面や立体作品を初期から晩年まで通して見せることで、この≪ナナ≫像の持つ意味をより鮮明に伝えている。「作られたときはフェミニストから『こんな醜い女性を作るなんて』と猛反発を受けたが、≪ナナ≫は男性が作った理想の女性美から女性を解放した点でも先駆的だった」と同美術館学芸員、笠木日南子氏は言う。

 「同じ女性として、どんどん優しい気持になれた」。会場に置かれたノートには、女性たちの率直な感想が数多く寄せられている。(律)


これは今日の日経新聞 「Sunday Nikkeiα」欄に掲載された『ニキ・ド・サンファルの「ナナ」』からの抜粋記事です。『おおらかな姿、女性を解放』という副題がついています。 

≪ナナ≫とはフランス語で女性一般を表す呼称だそうです。

家内に新聞を見せて、「お母さんが載っているよ」と冗談を言い、「おおらかな姿だって」とフォローを入れながら、記者(律)氏の解説を読みました。

今、素晴らしいプロポーションだの、理想の体型だのと言われる女性美は、確かに男性が作ったものであり、又、男性を意識したものであると思います。

本来の女性美とはなんであるかと考えたときに、それはニキが友人を見て触発されたという女性本来の性である妊娠と出産の姿であり、健康な赤ちゃんを身体に宿し出産するどっしりとした体型、ふくよか、且つおおらかな姿、今にも踊り出しそうなのびのびとした心、これに尽きると思います。

それを、ニキ自身、男社会に順応できなかった若い頃の自虐的な作品からこの≪ナナ≫シリーズに至るまでの作品の中で、自分の考える女性像が変化して行き、この≪ナナ≫こそ自分の心の中にある異性を意識しない真の女性美を表現しているのだと思います。

ただ、肥満が原因で、血圧が高くなったり、糖尿になったり、と病気にだけはならないことを祈りながら・・・
 . (笑 


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