無実の駐車違反 お粗末な日本のお話とアメリカのお話

今日の日経新聞
『違法駐車取締で無実の所有者に違反金』
という囲み記事がありました。



記事の内容はこういうことでした6月改正の道交法に、駐車違反の「逃げ得」を許さないよう車の所有者にも違反金を科す制度が施行されました。

この制度で、大阪府警が委託した民間駐車監視員が違法駐車したトラックのナンバーが偽造なのに気づかず、本物の同じナンバーを所有する会社に対して違反金の仮納付書を送付したという記事でした。

同社からの抗議でミスと判明し、府警は同社に対して謝罪をしましたが、民間駐車監視員は専用端末で車種を入力してデジカメで写真も撮るため、同じ誤りは起こりにくいと言っていると書いてありました。


この記事からみても、運転者ではない所有者に対する違反金仮納付書の送付は、この案件のような誤送付がこれからも多々発生することでしょう。


そして、もうひとつのお話です。

これも過日、新聞のコラムにあったエッセイですが、慶応大学の清家篤教授がアメリカのカリフォルニアに住んでいた頃の20年近くも前のお話です。

おおまかな記事の内容です教授は、あるとき切符を切られた覚えもないのに駐車違反通知書が送付され、そこには自分が行ったこともない場所が記載されていたということでした。

罰金はたかだか数十ドルで、手間を考えれば納付してもよかったのだけれど、やはり納得できないので市の裁判所へ異議を申し立てに行きました。

流れ作業のように次々と呼ばれるなかで自分の番となり、判事の前で
「行ったこともない場所で駐車違反をしたことにされている」
と恐る恐る陳述をしたところ、判事は一言
「わかりました。本件はこちらで処理します。次の方どうぞ」
と書類を机の上の箱に放り込んだそうです。

そのあまりの簡単さに、出口に導いてくれた廷吏に
「これで終わりですか」
と尋ねたら、廷吏は
「あんた、判事の言うことを聞いただろう」
と、こんなケースは珍しくもないと言わんばかりに素っ気ない返事が返ってきたといいます。

清家教授は、いい加減な摘発にあきれると同時に、すぐに間違いを認める態度には感心したということでした。




さてさて、清家教授のようなケースが日本で発生したら、日本ではどのように処理されるのでしょうか?




今回の駐車違反取締の新制度では、文頭に書いた偽造ナンバーでの違反金仮納付書ご送付トラブルのほか、どんなミスやトラブルが起こることでしょうか?

警察や今回改正道交法で導入された民間駐車監視員は、専用端末で車種を入力してデジカメで写真も撮るため、同じ誤りは起こりにくいと言っているそうですが・・・(それならそれで、今回も先にデジカメ写真を調べて、車種などちゃんと照合してから仮納付書を送りなさいよ)

ステッカー(駐車違反確認標章)を貼る前の段階で、違反のもみ消しを図る輩や、またそれを引き受ける監視員が出ないとも限りませんしね。監視員は二人一組だと言ったって、二人でグルになれば、わけないですものね。






(記事の出典は、どちらも日経新聞です)