ああ情けない! これでも日本は先進7カ国?

ムーディーズは1998年11月に最高水準のAaaから、そしてS&Pは2001年2月に同じく最高水準のAAAから、日本の評価を下げ始め、現在に至ってはそのランクは下表のごとくガタ落ちです。

 『日本国債の格付け』 = 『日本の格付け』 です。

アメリカの有名な格付け会社に、前出のムーディーズ・インベスターズ・サービススタンダード・アンド・プアーズ社(S&P)の2社がありますが、通常これらの格付け会社は民間企業を対象として格付けを行っています。

そして国自体も国債を発行しているので、当然格付け会社の分析対象となります。この各国の国債に対する格付けを「ソブリン(sovereing)格付け」と言い、ムーディーズは2002年に日本の評価を、その前年のAa3からA2にまで2段階も引き下げました。

下にムーディーズの現在の各国の国債格付け(自国通貨建て)を記載しておきましょう。このムーディーズの格付け表記方法は他社と違っていますので、S&Pはじめ多くの格付け会社で使われている表記方法も、その横に合わせて付記しておきます。


Aaa = AAA・・・・・ 米国、英国、ドイツ、フランス、カナダ

Aa1 = AA+・・・・・ ベルギー

Aa2 = AA ・・・・・ イタリア、ポルトガル

Aa3 = AA-・・・・・ 台湾、香港

A1 . = A+ ・・・・・ チリ、チェコハンガリーボツワナ

A2 . = A . ・・・・・ 日本、イスラエル南アフリカポーランド


............................................................................................ムーディーズによる主要国格付け

この表で分かるように格付けはAAAの最高水準からD債務不履行まで分かれていて、更にAAからCCCまでは同じクラスの中でもAA+AAAA-のようにランク分けされています。

因みにムーディーズが日本の格付けを2段階も一度に引き下げたこの年に、S&Pも前年のAAからAA-に1段階引き下げています。また、日本の格付け会社の代表であるR&I(格付投資情報センター)とJCR(日本格付研究所)はどちらもAAAを付けておりますが、経済評論家の中にはアメリカの格付け会社は日本の実力を評価していないという意見もあるようです。

さて、前置きが長くなりましたが、今年6月1日ムーディーズは「日本は政府債務の増加に歯止めがかかる転換期にある」とし、またS&Pは5月23日に「日本の経済構造が強化されつつあり、財政面での改善が見込まれる」として、それぞれ現在の格付け自体は据え置いたものの、格付け見通しを「安定的」から引き上げの可能性を示す「ポジティブ」に変え、今後格上げすべきか検討の段階に入りましたが、S&Pは日本が政策転換などで政府の財政再建路線が後退すれば、反対に格下げにもつながりかねないと言っています 。

それにしても、かつては他の先進国と並んで最高水準であった日本の格付けが、台湾や香港からもはるか引き離され、ボツワナよりも低く、南アフリカポーランドと一緒だなんて・・・ 

どこをみて先進7カ国だなんて言えるのでしょうか。 ああ、情けない!