God Bless You! − Mother Teresa

マザー・テレサ ー テレビと新聞でその映画化を知り、早速映画館を調べてみると神戸ではたった1館しかやっていません。それも9月3日から9日までの7日間だけの上映と知り、台風騒ぎのさ中でしたが、昨日仕事が終わってから慌てて観に行ってきました。

マザー・テレサ・・・ノーベル平和賞を受賞した彼女の名前はあまりに有名で、インドで貧しい人々の救済活動を続けた聖女、世界中の人々に感銘を与え、そして世界中の人々に愛された女性とくらいしか知りません。

この映画はあの名作『ロミオとジュリエット』のジュリエット役で世界中の映画ファンの心を虜にしたオリビア・ハッセーです。敬虔なカトリック教徒の母親の影響を受けて、小さい頃からマザー・テレサを敬愛し、その行動に感銘を受けたという彼女はマザー・テレサの役を演じることが20年来の夢だったと語っています。





=あらすじ=
映画は圧倒的な人の群れでむせ返る熱気に満ちたカルカッタの街角から始まります。その混沌とした街の中で真っ白い修道服を身にまとったマザー・テレサが見たものは路上で横たわり死を待つだけの病人や親を失った貧困の子供達でした。

修道院内のカトリックスクールで教鞭をとっていたマザー・テレサは、イスラム教徒とヒンズー教徒の抗争で負傷したインド人を助けたことから、「自分の居場所は修道院でなく、貧しい人々の中」と考えるようになり、修道院長と対立してしまいます。

カルカッタ修道院を追われダージリンに向かう途中、「貧しい人とともにキリストに尽くしなさい」という神の声を聞き、カルカッタに戻り、修道服を脱ぎ捨て、「白は清らかさの象徴、青は聖母マリアの色です」といって木綿の質素なサリーを身につけて、自分の信念に従いたった独りで街に出て人々に救いの手を差し伸べ、やがて自由に活動できるよう「神の愛の宣教者会」を設立します。

困難に立ち向かう中で心強い協力者を得る一方、スキャンダルにも巻き込まれてしまいますが、圧力にも屈せずスラムに通い続け、ハンセン病患者を救済するための施設「平和の村」の建設に乗り出します。

 =映像(TRAILER)=

=メディアプレーヤー= (High) ・・・ (Low) 
=クイックタイム= (High) ・・・ (Low) 




この一連の行動の根底に流れるマザー・テレサの信念は、「神がお望みなら必ずそうなる」という強い意志です。彼女はひたすら神に祈りを捧げ、「あなたは必要とされている」とひたむきに貧者に救いの手を差しのべます。

そういう彼女に惹かれ、その無欲な行動に共鳴し彼女の助けになりたいと考える人々が集まり、彼女に力を貸し、そして神がお望みのとおりに事は運ばれていきます。不可能を可能にする数々の「奇跡」を成し遂げた聖人としてすべてが次から次へと彼女の考えどおりに「そうなる」ところが彼女の持つ神秘性というかカリスマ性なのでしょう。

最後には彼女を取り巻く環境が事業化され、あまりにも肥大化して当初の直接貧者に救いの手を差しのべるという原点から離れて行った時、彼女はあっさりとその組織を捨てて、かたくなに昔の自分の世界へともどって行きます。




頑固だけれど聡明で、またユーモアも持ち合わせたマザー・テレサはその小さな身体に秘めた鋼のような強靱さと深い海のような愛の力で不可能を可能にし、最も貧しい人々のそばで神に仕えることを選び、自分自身は何ものぞまず人に与える事に全生涯を捧げた女性でした。

右の写真は1981年来日時のマザー・テレサさんです。女子パウロ会著作発行の『生命それは愛 - マザー・テレサ来日講話集』のビデオカバーからお借りしました。




36歳から87歳までのマザーを熱演したオリビア・ハッセーは、心の中では20年間準備し続けた役だと思っていると語り、生前のマザーを知る人にマザーの話し方や立ち居振るまいに至るまで「似ている」と言わしめるほどマザーの雰囲気を的確にとらえているようです。

マザー・テレサの50年の歩みをたった2時間たらずの映画にまとめるには余りにも無理があり、マザーの活動をたんたんと並べただけという印象を受けました。私たちが知らないマザーの半生を説明する入門的書的なあらすじ映画としては、これでいいでしょうが、出来ることなら、エピソードごとにもう少し深い部分まで掘り下げた映画をそれぞれ別々に分けて製作して貰いたいものです。

God Bless You!