「カトリーナ」 の次は 「ナービー」


カトリーナ」(Katrina)

2005年9月23日にメキシコ湾で発生した超大型ハリケーンは「カトリーナ」と命名されフロリダ州マイアミをかすめた後8月28日にルイジアナ州ニューオーリンズに再上陸、その後北上を続け、8月30日には温帯低気圧に変わりました。



その規模風速70m、風速25m/s以上の暴風域は半径220kmの広範囲で米気象当局5段階評価のカテゴリーはレベル4に位置します。気象庁によると、カトリーナは上陸直前には、中心気圧902ヘクトパスカル、最大風速約75メートル、最大瞬間風速約90メートルを記録したとのことです。

ミシシッピー川河口付近に位置する海抜0m以下の地帯のニューオーリンズは2ヵ所の堤防の決壊によりポンチャトレイン湖の水が濁流となって町の中へ流れ込み市内の8割が冠水しました。

水も電気もなく衛生状態の悪化の中で酷暑に呵まされながら、略奪と暴徒と銃撃の中で無法地帯と化したこの地で、移動できない病人と車も持てない貧困層が未だ5万人取り残されたままです。

米政府は105億ドルの補正予算案を議会に提出し、軍隊を7000人送り込むことを決定しましたが、洪水への備えが不十分であったことをはじめとして、食料や水の支援物資の到着が遅れたことや連邦政府の指揮系統が確率されていないお粗末な救助計画に避難民からの不満が高まり、深刻な治安悪化に絶望的な危機を募らせています。

そもそも30数年前に米南部をおそった超大型ハリケーン「カミル」の研究をしていたコロラド大学の研究者たちが6年前に「カミルから30年」という報告書をまとめ、この中で「メキシコ湾岸の人口が急増している中、同じクラスのハリケーンに再びおそわれた場合には海抜0m以下のニューオーリンズは「とてつもない水害」が発生し、多数の人命が失われ甚大な被害に見舞われる」と予測し、「いかにして災害から人命を守るかに注意を払い続ける必要がある」と記しています。

米気象当局5段階評価のもっとも強烈なレベル5の超大型ハリケーン「カミル」の例に研究者が警鐘を鳴らしていたにも拘わらず、対策を怠った政府への批判は避けられないでしょう。

支援の輪は世界に広がっていますが、米国に販売拠点ををもつ日本の各企業は9月2日の時点で、トヨタの500万ドル(5億5千万円)、日産の100万ドル(1億1千万円)をはじめ、ホンダ、武田薬品、キャノン、三菱重工松下電器産業東芝ソニー三菱商事伊藤忠、丸紅・・・等が相次いで義援金や援助物資を送ると表明しました。

そして9月4日現在、日本、ロシア、カナダ、フランス、ドイツ、中国、韓国など50カ国以上が対米支援を申し出ています。この中には米国と敵対しているキューバやイラン、ベネズエラも含まれています。

日本政府は米赤十字社を通じて資金援助20万ドルと物資援助30万ドル相当の合計最大50万ドル(5千5百万ドル)を援助すると発表しました。

また、米メキシコ湾岸の石油施設が被災したことに伴い国際エネルギー機関(IEA)も加盟国26カ国から30日間分6000万バレル(日量200万バレル)を緊急放出することを発表、このうち日本は12%の約700万バレルを放出する予定です。



「台風14号」(Nabi)


超大型ハリケーンカトリーナ」が米国に甚大な被害をもたらしましたが、一方日本にも大型で非常に強い台風14号が接近中です。

気象庁によると、アジア名「ナービー(NABI)」と名付けられた台風14号は9月4日午後3時現在南大東島東70kmの地点にあり、中心の気圧は935ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は45メートルで風速25m以上の暴風域は半径280km(中心の南東側300キロ以内と北西側260キロ以内)に及ぶ大型台風で時速15kmのゆっくりしたスピードで奄美大島から九州方面に向かって北上中です。

台風から延びた前線と、台風による南からの湿った風と雷雲の影響を受けて、東京では1時間に100ミリを超す豪雨が降り、川のように水が溢れた環八では車が水没し、杉並地区では胸のあたりまで浸水したところもあるようです。台風の接近とともに、台風の中心から遠く離れた場所でもすでに影響が出はじまっています。

暴風域はカトリーナの半径220kmよりも大きく、独自に台風データを解析している米軍は、気象庁と異なる独自方式の測定で最大風速130ノット(約66m)以上を記録し、その規模を「スーパータイフーン」にランクしました。

今後の進路次第で西日本などに大きな影響が出そうです。アメリカの「カトリーナ」の被害の二の舞にならないように政府の速やかな対策を期待するところです。