自分を整理するための「郵政民営化」問題

自分のために郵政の問題についてまとめてみました。

郵政民営化の論点は『郵政民営化法案』と『郵政改革案』です。

郵政民営化法案』には、自民党公明党が賛成をしています。野党は全部反対です。広義の『郵政改革案』については、勿論、自民、公明は賛成をしていますが、民主、社民、共産の各野党も全部賛成しています。


先ず今回の民営化法案とは、どういうものでしょうか。

. .............................................................. 国.............................. ........................
. .........................................................................↓...............................................................
. ..................................................持ち株会社...................................................
..................↓....................................↓............................. .......↓..................................↓...............
......郵便事業.......窓口ネットワーク事業.........貯金事業...............保険事業


要するに、郵政4事業をそれぞれ切り離し独立させ、これを持株会社に管理させるというものです。


では、民営化する利点とはなんなのでしょうか。また、郵政改革は賛成であるのに民営化法案に反対している問題点とはなんなのでしょうか。

1.国が個人資産を吸い上げることにより銀行や保険会社をはじめ、民間企業を圧迫し日本の経済全体に悪影響を及ぼすと考えられています。民営化することによってこの資金を民間に還元できると考えられます。

2.郵政の資産は郵貯簡保合わせて約350兆円あります。これが国債に代わり、道路公団だの、社会保険庁だの、特殊法人に渡り、この資金を無駄に湯水のように使っている(個人資金が非効率な官業に流れている)ことが問題となっています。民営化することによってその財政投融資の廃止を断行することができると考えられます。

3.逆に族議員をはじめ関係省庁の役人たちにしてみると、民営化されることによって力を抑えられ天下り先が確保できなくなってしまいます。このように天下りをさせないようにする考えがあります。

4.そして、全国の郵便局の3分の2以上を占める特定郵便局のほとんどが世襲制で、局長・職員の転勤や異動もなく、また局長は高い賃料で局舎を国に貸しています。これらを民営化して公務員という身分保証をなくし、世襲制度もなくすことが考えられます。

5.国営から民営に移行することにより、過疎地における郵便局が、採算ベースを考えた時点でこの世襲制度の廃止と共に切り捨てられてしまうのではないかという不安が払拭されていません。この問題を残したまま、今回の民営化法案採択をすることは余りにも性急で、もっと議論を重ねるべきと考えられています。

6.政府は2017年4月までに持株会社の株式を最大で66%売却し、持株会社は貯金事業会社と簡易保険事業会社の株式を売却します。これによって政府は売却益を得、同時に民間企業となった郵政各グループ会社から税金も徴収するようになります。この点において野党や郵政法案反対票を入れた自民党議員たちが反対をしていると考えられます。


さて、2.3.4.で恩恵を受けている一部の特殊な人はともかく、世の中よくなるなら、と改革に賛成する人が圧倒的に多いのですが、問題は5.と6.にあると思います。

5.に掲げた郵便事業については2兆円の基金を創設して、現在約25,000局ある「ユニバーサルサービス」のネットワークを壊すようなことはしないとしています。

しかしその保証がどこにあるのでしょうか。JRにしても民営化されたその後、過疎村の不採算路線は、地方自治体や第三セクターに移譲され、その揚げ句に破綻しているケースは数限りなくあります。これと同じようなことにならないかという不安があります。

このあたりが、郵政改革でハッキリと明言されておらずその不透明さゆえに、国民、特に過疎地に住む人たちは、おらが村さの郵便局はいずれ将来は消えてなくなってしまうのではと不安になっているのだと考えます。

ドイツポストの民営化では、2万9000局あった郵便局が10年間で1万4000局減ったと言うことです。しかし山間・僻地を含め、郵便局のない地域でも、「ブリーフトレーガー」と呼ばれる遠距離配達員が毎日必ず各家庭を訪ね、郵便物の配達・収集を実施し、翌日配達の割合は10年前の60〜70%から95%へと上昇したという新聞記事もありました。

小泉さんは『この日本全国にくまなく存在する郵便局のネットワークは私たちにとって貴重な資産であり絶対になくさない』と言っておられます。

勿論この公約は守られるとはかぎられません。でも、この前の採決の前にもっとそのネットワークの利点を具体的に例をあげて説明するべきであったと思います。説明不足のまま採決に至るのが早すぎたとも言えると思います。

たとえば、現在は規制でがんじがらめにされていますが、民営化されれば、今まで銀行のない過疎地に、郵便局のATMを利用して新たな金融機関が入ってくることも考えられます。

民間会社が民営化後の郵便局各事業会社と提携し、郵便局ネットワークに乗せて民間の商品を販売することも可能になるでしょう。

ヤマト運輸元会長の小倉昌男氏の『郵政の民営化によって、今までの規制を取り払い本来の経営を導入することになれば、民間宅配便会社にとっても脅威になる』という意見もあります。

郵便料金にしても民間との競争の中で、郵便局だけが高い価格を設定することもあり得ないでしょう。

そう考えると、過疎地のその地域に住んでいる人が利用しないと廃線になるJRの場合とは根本的に違い、過疎地に郵便物が届かなくなることは考えられないのではないかと思います。むしろ便利になることのほうが優位で、そんなに懸念することもないのではないかと考えます。

さらに、6.の民営化による税金の徴収については、民間企業においては年1兆円を超える税金等の相当金であるものが、現在優遇措置により実質的には政府が負担していることになります。さらに現在低金利で集めた資金で国債などに投資をして利益を出していますが、市場金利が上がるとこの方程式もなりたたなくなります。そうなると官営郵政は成り立たなくなり、官営ですから当然国が税金を使って支援に乗り出すことにもなりかねません。


以上のことを国民に納得できるように微に入り細にわたり説明し、もっと事前に議論を重ねていれば、衆議院の解散問題にまでは発展しなかったのではなかろうかと考えます。

それぞれ皆さんの考え方はあるでしょうが、自分なりに結論づけていかないと今となっては先送りできないところにまできています。皆さんももう一度考えて見られてはどうでしょうか。

この郵政の問題だけで衆議院を解散する小泉さんにも問題はあるとは思いますが、こんどの選挙は少なくとも構造改革の一つである郵政民営化法案の是か非かを問う選挙です。

自分の意見を主張するためにも、棄権することなく投票所に足を運ぶつもりです。