コピーワンス緩和 ・・・ それよりもアナログ放送がなくなるとお年寄りが可哀相です

コピーワンスってわかりますか? なんのことか?

放送業界では、2011年に今までのアナログ放送がなくなり、デジタル放送(地上波デジタル、BSデジタル)のみに変わります。

今までアナログ放送では、番組をビデオテープに録画して複製を作ることができました。さらにそれを親として何回もダビングをしていくつものコピー(子)を作ることが出来ました。また、そのコピー(子)から再ダビングをして孫、ひ孫とコピーを作ることも出来ました。ただし、こちらの方はどんどん画質が劣化していきますが・・・

ところが、デジタル放送のDVD録画の場合には、子から孫に、孫からひ孫にダビングしても画像は劣化しません。放送局から送られてきた画質と全く同じものをつくることができます。

これは私たちにとってとても嬉しいことですが、放送局側としては高画質のテレビ番組が大量に複製され違法コピー商品として出回る可能性が高く、放送業界はこれを懸念して、昨年4月からすべてのデジタル放送において録画は1回しかできないという信号を組み込んで放送しています。

これが『コピーワンス』です。

このデジタル放送を録画するためには「CPRM」と呼ばれる著作権保護技術に対応したDVDレコーダーとDVDディスクを使う必要があります。そしてこのレコーダーは放送に埋め込まれた信号を読み込んで1回だけ録画を可能にします。

さて、アナログ放送に慣れ親しんだ私たちにはここで問題が起こります。

たとえば、我が子がテレビ番組に出演したとしましょう。

?まず、DVDに保存する段階で、この番組のコマーシャルカットをしたり、我が子の出演部分だけを切り抜いたり、すなわち編集や加工ができません。

?また、何枚もコピーをして親戚や知人にばらまくこともできません。

?さらに、ハードディスク(HDD)内蔵型では、このHDDに映像を記録した時点で「コピーワンス」は使い果たしています。「ムーブ」という方法でDVDに移し替えることは出来ますが、移し替えた途端にHDD側からは記録が消えてしまいます。そして、その移し替えのときに、操作ミスをしたり、ディスクの不調で録画出来なかった場合には、すべての映像は消えてなくなってしまいます。

そんなことで、この1年間、視聴者から不満が続出・・・して、総務省と放送業界は地上波デジタルの普及に支障をきたしかねないと、2〜3回にかぎりコピーを認める案が先月(7月29日)浮上しました。

それでも2〜3回では、子供の出演番組を親戚じゅうにばらまくことは出来ません。それにも増して、既に発売されているDVDレコーダーの大半がコピーワンスに対応しており、今回の緩和に伴い消費者は対応機種を買い直さなければならないことになります。

アメリカでは、こんなプロテクトはかかっていないと聞きます。

このデジタル放送、録画の問題だけではなく、6年後にはアナログ放送自体がなくなることにおいて、一人暮らしの年金生活のご老人も2011年からは、アンテナから受信装置(デジタル対応テレビやチューナー)まで、新たにお金をかけないとテレビのニュースすら観られないことになります。

総務省はメーカーや著作権団体に対し、デジタル放送「コピーワンス」の見直し策について年内に結論をだすよう求めています。

みなさん、「コピーワンス」の問題に限らず、アナログ放送の廃止時期をも含めて、もっともっと不満をぶつけましょう。さらなる見直しをさせるためにも・・・

デジタル放送、いいような悪いような・・・複雑な気持ちです。




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