ボードレール家3姉弟妹の冒険ファンタジー

ファンタジー映画
『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』
を観てきました。

楽しげなアニメで始まるこの映画は、シネマコンプレックス館では、『あれっ?となりのアニメ館と間違えて入っちゃったかな?』と一瞬ひるみました。
そう思った矢先、『非常に不愉快な物語なので、このようなハッピー・エンドの映画を観たいならば隣の劇場へ行ってくれ』と、ナレーションが入り、その直後から本題の物語が始まります。

世界で40言語に翻訳され、3000万部を売り上げている、レモニー・スニケット原作の「世にも不幸なできごと」シリーズから、幼い三姉弟妹に次々と降りかかる哀しくも悲惨な物語で、原作の小説は、あまりに可哀想で読むのを止められず、世界中の読者を釘付けにしたという、曰く因縁付きのベストセラーです。

ストーリー

発明好きのヴァイオレット、読書家のクラウス、噛むことが大好きなサニーは、裕福なボードレール家の三姉弟妹。ある日、火事によって愛する両親を失った3人は、遠縁のオラフ伯爵に預けられる。ところがオラフ伯爵は、後見人手続きが終わった途端、遺産目当てに3人の暗殺を企てる。3人は、この危機を知恵と勇気で逃れ、別の親戚へ預けられることになるのだが、強欲なオラフ伯爵は、あらゆる手段で3人に近づこうとする・・・


と、まあこういう線で展開していくのですが、全編を包む幻想的な映像は、グレー基調で不気味ではあるのですが、恐怖感を受ける前に、先ず絵本を見ているような美しさを感じます。

また、ジム・キャリー扮するオラフ伯爵は、その都度変装して子供たちの前に現れるのですが、彼独特のオーバー気味な演技は本当に憎らしく感じ、この役に実にピッタリとはまっています。

最初に裕福なボードレール家が火事で焼け落ちてしまいますが、遠縁の親戚とされるオラフ伯爵を始め、つぎつぎに預けられる親戚と称する後見人に、望遠鏡であったり、写真であったりと、お父さんとのつながりに関する小ものが途中にいくつか出てきます。

しかしそれらとボードレール家とのつながりが分かりにくく、『だから、それが話の展開にどういう関係があるの?』と、理解に苦しみました。こう思っているのは、私だけなのかも・・・ 

更に、3姉弟妹の特技ですが、姉の発明と弟の読書の特技はストーリーの中で発揮されていますが、幼い妹サニーの「bite」 噛む行為は、特にストーリーの中で意味を成していないと思うのですが・・・ 噛む行為が、もう少し物語の一端を担うような設定にして欲しかったと思います。

全体的に、不幸せを強調していますが、映画を観る限りでは、それほど不幸せな感じを受けませんでした。原作は読んでいないので分かりません・・・。 

むしろ、両親を失った3姉弟妹が、遺産を狙うオラフ伯爵に対して機知と勇気と愛情をもって立ち向かうアドベンチャー映画でした。タイトルも『ボードレール家3姉弟妹の冒険物語』とでもしたほうがピッタリくるように思いました。

原作者が言いたいことは、こんなことなんだろうと思います・・・

『どんな不幸なことがあっても、それに立ち向かう勇気があれば、それを幸せに転ずることが出来る。逆境にあっても、機知機転をもって世の中すべてプラス志向で考えなさい』