ライブドアとニッポン放送の攻防戦 既存株主を無視?

ニッポン放送の株も、ライブドアの株も持っていない野次馬的立場からみると、
人生生き残りゲームではないけれど、おもしろい展開になってきました。

先ず両者の株価ですが、ライブドア社債を発行して借りた800億円は、
前にも触れたとおり、株式に転換されると株価は大幅に下がります。
そして今回のニッポン放送新株予約権発行に対しては、発行価格が
評価額を下回っているとなれば公平性に欠け、更に大量発行にともない、
これまた1株あたりの価値が大幅に下落します。

次にライブドア転換社債には株価連動条件がついており、株価が下がると
転換価格も下がり有利発行にあたると考えられます。
一方ニッポン放送の新株発行が先ほど述べたように特定の投資家(フジテレビ)
を優遇することにつながれば、これも有利発行と判断されるでしょう。

ここまでは、五分五分です。

ライブドア時間外取引で公表もせずに大量の株を集めました。
これはいけません。
一方フジテレビは公開して市場外取引(TOB)を行っています。
この点ではライブドアは商法違反を侵しているので不利と思われます。

フジテレビは今回の新株予約権ライブドアの持ち株比率を引き下げ、
経営権維持を目的とするための手段であるとするなら、この新株発行は
認められなくなります。こうなると致命的にニッポン放送が不利になります。

ニッポン放送の記者会見では、ライブドアが親会社になると企業価値
大きく毀損される。フジテレビから離脱することによる損失を考えると、
フジサンケイグループに残ることがニッポン放送企業価値を高めることに
つながる、と言っており経営権維持が目的とは言っておりません。
あとは裁判所の判断となるでしょう。

現時点でニッポン放送株を3分の1以上持っているライブドアとしては、
新株予約権発行の決議に対して株主総会において決議に拒否権を
行使できます。これはライブドアにとっては有利材料ですね。

既存株主の犠牲の上に立った今回の泥沼化攻防戦は、さあ、この後
一体どうなるのでしょうか?

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M&A(企業合併・企業買収)とPoisonPill(敵対買収防衛手段)。
それに慣れていない、ぬるま湯の温泉に浸かっている日本の企業。
親会社と子会社の立場が逆転している、ねじれた企業。
この辺に問題があるのでしょうね。

昔、矢張りねじれた親会社と子会社の関係にあるコクドと西武鐵道
めぐっても同じような企業乗っ取り未遂があったと聞きました。
国際興業小佐野賢治がコクドの株を買い集め、子会社である西武鉄道
国際興業の傘下におさめて支配しようと謀ったとのこと。
それに気がついて慌てた堤義明は右翼の児玉誉士夫に仲介を依頼。
児玉誉士夫小佐野賢治に買収をあきらめさせたということです。

エライ世の中です。