KY

お正月の三が日も終わり、いよいよ明日から相いも変わらぬ日常の生活・仕事が始まります。

いやいや、今年は「変わらぬ」なんて言ってはおられないかもしれませんね。

考えると、常に変わらぬ仕事、変わらぬ生活にどっぷり浸かっている日常に、特別の意識は感じないのですが、逆にそれほどありがたいことはないのかもしれません。躍進も大事ですが、むしろ変わらないことに感謝し、今年も変わらないことを願わないといけないと思ったりもします。

さて、明日からの仕事が始まる前に今年の目標を決めておかないと・・・。

今年の目標は、『目的意識を持って、自分自身を変える』――こんなんでどうでしょうか?(笑)


この目標に関連して・・・今日の話題は「KY」です。



JKAMHKFKなどの言葉が分からなくても「KY」を知らない人は今やほとんどいません。

因みに、JK=女子高生、AM=後でまたね、HK=話変わるけど、FK=ファンデーション濃いね。

これらの略語は文章をローマ字化して頭文字を取っている『KY式日本語』と呼ばれる言葉で女子中学生、女子高校生の間で流行り、このうちの「KY」に至っては政治家までが国会答弁の中で使うなど知らない人はいないほどごく一般に使われるようになりました。

言うまでもなくこの「KY」空気を読めないという意味ですが、共同通信社の関矢充人記者が、この言葉の背景にはなにがあるのだろうかと、「空気を読む時代」と題して記事を書いています。



歴史家の阿部謹也さんは「個人」が「社会」を作った西欧に対し、日本は「個人」が存在せず「世間」が人々を抑え込んでいると論じ、作家の藤原智美さんは、この「世間」が「空気」に読み替えられて社会的な規範になったと指摘しています。そして藤原さんは近著『検索バカ』(朝日新書)で、「空気を読むには、自己中心主義を戒めると言う意味も含まれるが、むしろ集団から浮いてしまうことへの不安と怖れである」と述べています。

これには関矢記者は、集団から排除されないように常に人の顔色をうかがい、支配的な意見に同調する現代人像が浮かび上がると分析しています。

藤原さんは「現代の日本人はテレビでキャラの演じ方を学習し、日常生活で場面に応じてキャラを選んで演じている」と話します。つまり空気を読むとは「日常」というテレビ番組に出演するようなものだと言います。

子供たちの日常は、学校、塾、スイミングスクールで、担任教師、塾の先生、コーチがつくる場の空気を読み取ること、そしてこの子供たちが大人になると空気を読む技術はさらに鍛えられると藤原さんは予測しています。

インターネットで世の中の動向を探る習慣も同じで、本やCDを買う時も、飲食店を選ぶ時も、ネットのランキングで多数意見に従うことが普通で、好みは全国一律になっていきます。外では人の顔色をうかがい、内でもテレビやパソコンで周囲の動向を気にする空気を読む生活にどっぷりと漬かった現代人はどこへ向かっていくのだろうかと関矢さんは憂います。

コンサルタントとしてさまざまな企業を見てきたドリームインキュベータ会長の堀紘一さんは、「企業が空気を読む社員ばかりになると日本経済は崩壊する」という危機感から近著「一流の人は空気を読まない」(角川Oneテーマ21)を書いたと言います。

堀さんは「日本は現在、戦後の安定期が終わり、新たな安定期への移行期にある」と話し、「移行期は短時間で急激に変化する不安定な時期なので人々は安心を求め、仲間に入れてもらおうとする。だから空気を読む。だが、空気を読んでいるだけでは劣化し続ける。これが現在の日本である」と。

そして新たな時代に向けて、堀さんは「各人が各様の人生の目的を持てば、周りに同調しなくてもやっていけると分かる。そういう人たちが新しい時代の空気を作ることが出来る」と、1人1人が目的意識を持つことが必要と訴えています。

「自分以外の人間を変えることはできないので、世の中の空気を変えたければ、先ず自分を変えること。人間はお互いに、お互いの空気の一部になっている」と説明しています。

「KY」・・・コギャルたちが使っているこの言葉にも、その奥を探ると実に深い意味があるようですね。

「赤信号、みんなで渡れば怖くない」――コギャル達は自分たちと一緒に渡らない人をKYというかもしれません。でも、だからといってみんなと一緒に赤信号を集団で渡っていいものでしょうか?人の意見に追随しないと集団から浮いてしまうと怖れる前に、自分自身で考え、他人に同調せずに自分の目的も持つこと、これこそが真の空気を読むことなんでしょうね。

今年は変革を唱えて米大統領選を制したオバマ氏が1月20日にはいよいよ米史上初の黒人大統領となる就任式を迎えます。

世の中の空気を変えるなんていう大それた気持ちはさらさらありませんが、いや、出来ませんが(笑)、私としては少なくとも今年はもっと目的意識を持って、自分自身を変えていかないと・・・・・(汗)