ねじれ国会劇場のスポットライト 〜 浴びる直前に夜が明けてしまったツキミソウ

与党は10月衆院解散、11月総選挙を模索しているようですね。



それに先立って、経済政策を争点に麻生太郎氏、与謝野馨経財相、石原伸晃政調会長、小池元防衛相が自民総裁選の10日の告示にむけて出馬を固め、この4候補が争う構図となりました。

福田康夫首相は、辞任の1ヶ月前に敢えて内閣改造を行い、麻生太郎氏を幹事長に据えたのは福田氏はこの時点ですでに辞任を考えていて、後継をスムーズに引き継ぐために麻生氏を起用したのではないかと推測されます。




しかし、麻生氏が無投票で当選すれば当然この暗黙の密約が取り沙汰され、自民党は危機に立たされる事になるかもしれません。今回対立候補が出馬することによってこの懸念は払拭され、それも4人も候補者が名を連ねるとなると、アメリカの大統領選ではありませんが一種のお祭りムードのような政策論争が期待でき、世論は大いに盛り上がることでしょう。


今、この4候補に華やかにスポットライトがあたっています。ねじれ国会劇場「自民総裁選」の幕開けです。




総裁選に出馬するには20人の推薦人を確保しなければなりませんが、党勢を回復するためにはこの総裁選の舞台を劇場化することが必須で、水面下では舞台を盛り上げるために、「推薦人は貸すから出馬しろ」と、実力者からハッパをかけられた議員もいるようです。

ただ当人たちにしてみれば、4人も候補が立つとなると、非麻生派票の獲得を狙った小池氏は同じ非麻生派の対抗候補に票が割れることになり面白くないでしょうし、また逆に麻生氏にしてみれば対立票が分散することで自分の獲得票は盤石となることでしょう。




麻生派の一部ではこれを避けるために対立候補を1本にしぼる動きもあるように聞いていますが、今の自民党には世代交代も重要な課題であり、今回麻生氏が総裁選を制することになっても、構造改革推進派の小池百合子氏や若い石原伸晃氏あたりが、近い将来をにらんで売名的に布石を打っておくことは非常に大事であると思います。



私は、今、このねじれ国会劇場「自民総裁選」にしっかり乗せられて、興味深く見守っているところですが、一方野党第一党である民主党の代表選」では対立候補も出ないまま、華やかなスポットライトを浴びることもなく早々と小沢氏の無投票三選を場末の劇場で済ませてしまいました。

新内閣発足直後の最も支持率が高い時期に総裁選を実施すればその勢いで政党支持率も上がると見る自民党は、10月解散、11月衆院総選挙を模索しています。ねじれ国会を利用して早期に衆院を解散に追い込み一気に政権を奪取しようと目論んでいた民主党は、ここへ来て反対に返り討ちに遭いかねない様相を呈してきました。

民主党が声高らかに叫んでいた解散総選挙でしたが、9月1日を境にして、今や自民党が叫んでいます。

昔、野球の世界で長嶋監督をヒマワリ、自分をツキミソウに例えた監督がおられました。ねじれ国会劇場ではヒマワリとツキミソウの大どんでん返しが観られるかと思いましたが、ここに来てヒマワリの一人舞台になりそうですね。

ヒマワリはやっぱり大輪のヒマワリ、かたやツキミソウは陽のあたらない夜にしか咲かないんですよね。せっかく舞台のお膳立てまで出来たところで花を咲かす前に夜が明けてしまったようです。今の様子では主役の交代は当分期待できそうにもありませんね。 







写真:asahi.comより借用