間違い探し

?若手政治家のAは心血を傾けて論戦を張ったが、派閥の策略に足下をすくわれ煮え湯を飲まされた。しかし、その後、大物政治家の登場もあって最後には溜飲を晴らした。

?話はこうだ。Aが憮然としているところへ大物政治家がやって来たので、Aは自分の描いているビジョンのさわりを話した。するとその大物政治家はAを官僚たちのところへ直接連れて行ってくれたのである。そこでAは官僚達を前に檄を飛ばした。官僚達はAの琴線に触れ、話はついに煮詰まったということだ。



?の文章には間違った使い方が4箇所あります。どこだか判かりますか? また、?の意味を正しく理解できますか?

?の間違っているところは、
 心血を傾ける → (正)心血を注ぐ = 全力で物事に取り組むこと
 論戦を張る → (正)論陣を張る = 論理を組み立てて議論を展開すること
 足下をすくわれる → (正)足をすくわれる = 卑劣ややり方で失敗させられること
 溜飲を晴らす → (正)溜飲を下げる = 胸のつかえがなくなり、気が晴れること


?が取り違えられるところは、
 憮然(ぶぜん) →(誤)腹を立てている様子 (正)失望してぼんやりとしている様子 
 さわり →(誤)話などの最初の部分のこと (正)話などの要点のこと
 檄(げき)を飛ばす →(誤)刺激を与えて活気付ける (正)自分の主張を広く知らせる
 琴線に触れる →(誤)怒りを買ってしまうこと (正)感動や共鳴を与えること
 煮詰まる →(誤)結論が出せない状態になること (正)結論の出る状態になること

これは、文化庁が24日に発表した2007年度の「国語に関する世論調査」の結果から、私が勝手に語句をつなげて作成した文章です。(調査にあがった言葉を無理矢理つなげたので、ちょっとおかしいところがあるかもしれません。お許しを。)

文化庁の調査によると「今の国語が乱れている」と思う人は80%弱に及び、上記のように語句や慣用句も間違った使われ方が多いようです。 


?と?の正しい使い方と正しい意味は概ね下記のようになります。

若手政治家のAは心血を注いで論陣を張ったが、派閥の策略に足をすくわれ煮え湯を飲まされた。しかし、その後、大物政治家の登場もあって最後には溜飲を下げた。

話はこうだ。Aが失望してぼんやりしているところへ大物政治家がやって来たので、Aは自分の描いているビジョンの要点を話した。するとその大物政治家はAを官僚たちのところへ直接連れて行ってくれたのである。そこでAは官僚達を前に自分の意見を広く主張した。官僚たちはAに共鳴し、話はついに結論が出るに至ったということだ。
 


「煮詰まる」については,世代間で意味の取り方に大きな差が見られ、若年層は、「結論が出せない状態」と取り違えて使う人が7割を超え、逆に高年層では、「結論の出る状態」と本来の使い方をする人が7割を超えており、老若で使い方が逆になっているそうです。

今日の日経の春秋には、
――言われてみれば、何かを「煮詰める」のは理性的で計画的な感じもするが意図せず煮詰まった鍋はあと一歩で焦げ付く。マイナスの意味での誤用も実感としてはわかる。テレビでは若いタレントが「私のお母さんは」「俺のおじいちゃんは」などと語っている。違和感を覚える向きもあろうが、昨今の殺伐とした事件を思うと、家族の親密さがほほえましくもある。犬に食事を、花に水を「上げる」人はもう珍しくない。命は平等との思いが浸透したためと見るのはうがちすぎか――
と綴っていました。

これだけ違った解釈をされると、自分の話したことがちゃんと相手に伝わり理解されたのだろうかと心配になります。 時には、知らず知らずのうちに反感を買ったり、誤解されて影で嫌われていたりするかもしれません。 

「ブログ仲間のだれそれさんは気が置けない人」なんて書いたら、猜疑心が強いと思われているんだとか、疑われているんだとか、逆に嫌われているんだと勝手に解釈されていたりするかも。。。 お〜〜こわっ。


※因みに「気が置けない」とは、「気詰まりでない。気遣いしなくてよい。」という意味です。 近年誤って、気を許せない、油断できないの意で用いることがある、と広辞苑には注意を促すコメントが付け加えられています。