マグロを食べられなくなる日が――。

今日は私の大好きなマグロが、いずれ食べられなくなる日が近い将来やって来るかもしれないというお話です。



ふつうマグロとはクロマグロミナミマグロをはじめ、メバチキハダビンナガの5種類を言います。このうち極上のトロがとれるマグロは、クロマグロミナミマグロで、クロマグロは本マグロとも呼ばれ北半球に住んでいます。またミナミマグロは南半球の温帯海域に多く住んでいることからインドマグロとも呼ばれています。

このクロマグロミナミマグロを国際的に資源管理してる機関が、クロマグロは「大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)」で、ミナミマグロは「みなみまぐろ保存委員会(CCSBT)」です。

2006年10月の会合で、日本はこのCCSBTから制裁を受けました。日本がこの前年まで割当量を超えた漁獲をしていたためです。 この年のミナミマグロの割当量は6065トンでしたが、2007年から5年間、年間3000トンに大幅削減されてしまいました。これは1994年に発効した「みなみまぐろの保存のための条約」に基づくもので、この制裁の結果、日本のミナミマグロの年間漁獲割当は従来のほぼ半分となってしまいました。

ミナミマグロは、国内に出回っているマグロ全体の3%ほどで、最高級のクロマグロの半分ほどといいいます。

一方クロマグロは、、日本の年間消費量は4万トンを超え、世界で漁獲されるクロマグロの大部分が日本で消費されます。

こちらも近年特に大西洋と地中海などで乱獲による資源の減少が深刻化しています。世界自然保護基金(WWF)などの環境保護団体の調査によると、欧州諸国が昨年から今年にかけて国際規制に違反して過剰に漁獲していたことが明らかになりました。

クロマグロの規定漁獲量は3万2000トン、しかし近年は毎年約5万トンのクロマグロが漁獲されているそうです。同海域では乱獲と違法漁業が横行し、禁止されている若い魚を大量に漁獲する上、漁獲した魚の行方が分からないなど資源管理上の問題点が指摘されています。

今年7月のWWFグリーンピースの調べでは、クロアチアでは今年に入って新たに10隻の大型マグロ巻き網漁船を建造、内1隻は国際協定で必要な登録をしないまま操業しており、漁獲割当量の833トンを大きく上回る5157トンに達し、国際条約で漁獲禁止されている小型魚が未報告のままクロアチア畜養施設に運ばれている可能性が高いと言います。

畜養施設とは沖合の海に人工的に作られた巨大ないけすのことで、特に地中海周辺では巻き網で若いマグロを大量に漁獲して沖合の大型いけすに運び、人工飼料などで太らせる「畜養マグロ」の生産が盛んです。この方法だとトロの比率が高いマグロを安定して生産でき、その高級トロは高値で売れる日本に出荷されるといいます。

また、ICCATでは飛行機及びヘリコプターによる漁業支援は禁止されていますが、少なくとも28機のイタリア漁業者の飛行機が上空からマグロの群れの場所を漁船に知らせていたことも確認されているようです。





私の大好きな中トロがクロマグロミナミマグロの乱獲によって絶滅となり、いつか食べられなくなる日が来るのでしょうか? 絶滅を危惧して、いつまでも食べ続けられるようにしようという条約なので、みんなで守らなきゃいけないんじゃないかと思います。そう思いながらも、これはヤミで漁獲されたクロマグロの中トロかな?と思案しながら、夕べも美味しく頂いたわけなのですが・・・。
(右の写真は、「樽平」さんの中トロのタタキです)



ご参考までに:
大西洋まぐろ類保存国際委員会 (抜粋)
(International Commission for the Conservation of Atlantic Tunas : ICCAT)

◆目的
大西洋におけるマグロ類の資源を最大の持続的漁獲を可能にする水準に維持すること。


◆設立条約
大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約
(International Convention for the Conservation of Atlantic Tunas)
日本署名:1966年5月14日、日本批准:1967年8月24日、発効:1969年3月21日

◆加盟国等(42ヶ国+1機関)
米国、日本、南ア、ガーナ、カナダ、仏(サンピエール・ミクロン)、ブラジル、モロッコ、韓国、コートジボワールアンゴラ、ロシア、ガボン、カーボヴェルデ、ウルグアイサントメ・プリンシペベネズエラ赤道ギニアギニア、英(バミューダ)、リビア、中国、クロアチア、EC、チュニジアパナマトリニダード・トバゴナミビア、バルバドス、ホンデュラスアルジェリア、メキシコ、バヌアツ、アイスランド、トルコ、ノルウェーニカラグアグアテマラセネガル、フィリピン、ベリーズ、シリア、セントビンセント及びグレナディーン諸島
※協力的非加盟国:台湾、ガイアナ

◆保存管理措置
(1) クロマグロ(Bluefin Tuna)
小型魚の漁獲・水揚げ禁止、販売禁止
・ 産卵親魚の漁獲禁止
・ 漁獲量規制
・ 地中海における操業規制
飛行機及びヘリコプターによる漁業支援禁止
蓄養に関する勧告措置



 . (赤字=上述)




上の写真:ケージの中で泳ぐマグロ (c) Greenpeace :Gavin Newman