最近の魚をとりまくお話

こうめいさんの記事の中で事業の継承は難しいというお話しがありましたが、今日の日経に先日ウナギの産地偽装事件に関与した神港魚類を傘下に持つマルハニチロが「600億円投資して漁業に回帰」という記事がありました。

昨年10月に旧マルハと旧ニチロ経営統合して以来初めての2010年度までの中期経営計画です。今回の投資のうち、水産事業には170億円をあて、10数年ぶりに貯蔵能力が1000トン級という大型の巻き網漁船を2隻建造し、海上での操業期間を長くして燃料費の削減につなげるとしています。

マルハニチロは、本来のメイン事業である水産事業のほか、冷凍・加工食品などの食品事業、畜産事業、保管物流事業と4つのグループ事業から成り立っています。メインは水産事業と書きましたが、今では従来型の「獲る漁業」から、「つくり、育てる漁業」つまり養殖漁業へと移行していき、さらに買い付け、加工、販売のウエイトが大きくなっています。

そんな中で「獲る漁業」への回帰は、食を取り巻く環境が大きく様変わりしている中、国内最大手の漁業会社としても、日本の魚食文化をこれから先大いに下支えしてほしいものです。

今、国内の漁業は燃料価格高騰による窮状を国民に訴えるねらいから日本全国で大規模な一斉休漁を行いました。国内漁業は経営難や後継者不足が進んでいるそうです。このあたりを安定させるためにはセリでの買い上げ価格、引いてはスーパーなどの流通価格の底上げが不可欠となるでしょう。末端価格が上がらないために、キャベツやハクサイを畑に放置したり、トラクターで踏みつぶしたり、牛乳を下水に流したり・・・生産者は生きるための手段を講じます。それをモッタイナイと思うか、少なくとも生産者側にたったそれなりの生活事情も考えていかないといけない思うのです。


そんな中、つい先日ウナギの産地表示偽装事件が問題になったばかりなのに、また下関で中国から輸入したトラフグを「熊本県産」など国内産と偽装表示して販売する事件が発覚しました。

山口県下関市水産物加工卸売会社「エツヒロ」が扱うフグは大部分が中国産でこれを刺身や鍋物用に加工して首都圏や西日本の大手スーパーや生活協同組合に出荷したそうです。

いったい、日本はどうなってしまったのか、何を信じていいか分からない時代になりました。まったく嘆かわしい世の中です。

さてさて、明日は土用の丑の日、値上がりした国内産ウナギの売れ行きも鈍いと聞いていますが、今年の丑の日は、低カロリー、低脂肪、高タンパク、そして偽装なしのハモにしてみませんか?