10人の子供たちが逆転勝訴

「がいこくじん! がいこくじ〜ん!」

友達の輪の中に入れない・・・。姓がちがうだけで、小さい頃からずっといじめられてきたといいます。

どれほど、つらい思いをしたことでしょうか?

「4つ下の妹は日本の苗字なのに、どうして私だけが、マサミ・タピルなの? 日本で生まれ、日本で育ち、日本語を話す日本人なのに・・・」

同じ両親のもとに生まれ育った妹は日本国籍。海外へ家族旅行をしても、妹のパスポートと色が違っていました。どれほど、苦しんだことでしょうか?

母親は事情があり、日本人男性と結婚しておらず、マサミさんは生後1年後に男性から認知されましたが、非婚を理由に日本国籍をとれませんでした。

一方、妹は妊娠中に認知、胎児のうちに認知されたため日本国籍を取れました。「同じ父親なのに国籍が違う。子供には罪がないのに・・・」と、母親は言います。

この日(6月5日)、未婚のフィリピン女性と日本人男性の子供で出生後に認知を受けた8歳から14歳の10人が日本国籍を求めて訴訟をしていた上告審判決で最高裁「実態に適合しない不合理な差別で、法の下の平等を定めた憲法に反する。差別的取扱で子の被る不利益は看過ごしがたい」と判断、二審から一転、逆転勝訴となりました。




私としては、親の都合で結婚しないことも親の責任のうちと考えますが、現実的には結婚しなかったことには理屈で測り得ない諸事情があったのでしょう。

親の事情はともかく、この幼い子たちが喜ぶ姿をみて、「これから幸せになって下さい。日本人として誇りを持って一生懸命生きて下さい」とエールを送りたいと思います。



ただ、こういう結果に必ずついて回るのが虚偽申請というもう一つの難題です。外国人女性が自分の子に日本国籍を取らせたいために認知証明書を偽造をしたり、父親でない日本人男性にお金を渡して偽装認知させるような事態がおこらないとも限りません。

テレビで、勝訴した子供たちが喜んでいるニュースを見ながら、こんな弊害が生じなければ良いが・・・と、危惧する反面、これが杞憂に終わればよいと思った夜でした。