備前岡山 西大寺 ?

そもそも西大寺は、今から約1200年前に藤原皆足姫が備前金岡庄に開基した観音堂に始まります。その後犀角を持った仙人(龍神)に御堂を移すようにと霊告を受けた安隆上人が竜神より授かった犀角を鎮めた聖地に堂宇を移して開山したのが犀戴寺(さいだいじ)で、後年西大寺と改称されたようです。

この犀角は、古来より漢方薬として使用され、解熱剤や解毒剤として珍重されてきました。平安時代、犀角は邪気を払うとされ、霊験高く多くの人々の信仰を集め、部屋の隅に祀り魔除とされていました。

本堂観音院の屋根にはこの犀角を持った藤原皆足姫と、お告げを霊告した竜神の瓦が飾られています。




西大寺では天下の奇祭とたたえられる会陽(えよう)、はだか祭りの斎事が毎年2月の第三土曜日に開催されます。




このはだか祭りを一週間後に控え、境内は建物の保護と参加者が怪我をしないようにとコンパネを張り巡らし、本堂の大床への石段も石段のまわりに臨時の階段をつけて三方から上がれるように取り巻いています。




ふんどしと足袋さえあれば誰でも参加できるこの祭事になにしろ9000人ものはだかの若者が押し合いへし合いをしながら宝木(しんぎ)を奪い合うのですから・・・。

宝木とは、夜中の12時に本堂の屋根裏に設けられた御福窓から投げ与えられる2枚の守護札で、これを戴く者は福が得られると人々が殺到したために、やむなくこれを頭上に投げ与えたのが奪い合いとなり、身体の自由を得るために裸となり、今日の会陽の形が成り立ったと伝えられています。

写真は本堂中央真上の屋根裏にある御福窓です。




1週間後の喧騒を知ってか知らずか、暮れなずむ吉井川は豊満な水をたたえながら静かに流れていました。

このあたりから赤穂までのあいだでどこか泊まっていこうかと、あちらこちらの宿泊施設に電話をかけてみましたが、今日は三連休の中日です。空いているわけがありませんよね。

冬の落日は早く、神戸に着いたときにはもう真っ暗でした。