ドルトン・レッド

 10月30日

ちょっと用事があって大○百貨店に出かけたところ、食器売り場の深川製磁コーナーのいつものお姉さんに目ざとく声を掛けられ、以前に大型の 「深川製 竜鳳凰錦手黄地杵型細長花生」 を買ったこともあり、今、外商サロンでコペンやドルトンの特別展示会が催されているから見てこられたら・・・と教えていただきました。

じゃあ、折角教えて頂いたので、目の保養をして来ましょうと、サロンに出かけました。覗くだけで一回りして出てくるつもりでしたが、たまたまうちの担当の外商さんに見つかってしまい、すんなり出てくるわけにもいかなくなりました。

説明を受けながら観賞をしているうちに、ひと際目立つ赤い染め付けの作品が並んでいるコーナーに目が止まりました。

ロイヤル・ドルトン社の作品で蓋付きの壺、朝顔型のボウル、50〜60cmもある円筒型の大きな花生け、それに小型の唐獅子の置物など数点が展示されていました。
 
デパートの「ロイヤル・ドルトン」のコーナーにもほとんど赤絵付けのものは並ぶことはなく、特別な展示会で数点出展される程度であるといいます。

その中で朝顔型のボウルの赤が他の赤に比べ一段と鮮烈で目に止まりました。

作品名は「Burslem Artwares Chaozhou Bowl」(バースレム焼 潮州器)と名付けられ、限定300個製造のうちの一つというドルトンの証明書がついていました。器の底には証明書と同じ通し番号も入っています。

「ドルトン・レッド」といわれる赤い染め付けにさらに窯変の黒い翳りを加わえて一層強い炎のような赤いイメージを醸し出しています。 これは「ルージュ・フランベ」という技法で、イギリスのバースレム地方においては現在も当時のままの製作方法が続けられているということです。

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特にこの朝顔型のボウルは「ルージュ・フランベ」の技法もメリハリが効いていました。

もとはといえば16世紀に酒田柿右エ門が完成させたという伊万里の赤絵の染め付けがヨーロッパに渡ったものであると言う説と、中国宋代の秘法だった独特の赤を再現した技法であるという説があります。

しかし、この作品が「Chaozhou Bowl」(潮州器)と名付けられているということは、この「ドルトン・レッド ルージュ・フランベ」の技法は柿右エ門説よりも中国宋時代説の方が有力かもしれません。

担当外商さんにも出会ってしまい、そのまま黙って出てくるのも憚(ハバカ)られて、結局買うことになってしまいました。ま、気には入ったのですがね・・・。

それにしても、あ〜〜またモノが増えました。


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