JR西日本 安全管理体制の軽視

事故が相次ぎます。

JR福知山線の大惨事があった昨日、フランスでも日本旅行が企画した観光ツアーで日本人客14人と日本人女性添乗員の乗ったバスが高速道路でカーブを曲がりきれずに、ガードレールを突き破って転落、横転する事故がありました。この事故で参加の邦人客14人のうち3人が死亡、添乗員を含めた12人が負傷、そのうちの1人は意識不明の重体とのことです。

そして今日はまた、茨城県美野里町のJR常磐線の踏切で、特急「スーパーひたち」が、脱輪して立ち往生をしているトレーラーに衝突、先頭車両が脱線したとのことです。幸い乗客にけが人はなく、トレーラーの運転手が軽傷を負っただけということです。

どうして、こう重なっちゃうのでしょう。


JR福知山線の事故では、死者73人、負傷者456人となり、死傷者の数が全乗客580人の9割を越えてしまいました。

ラッシュアワーには15秒間隔で運行するこの過密ダイヤ路線に、若い経験未熟の運転士を配置したこと自体がそもそも間違っていたのではないでしょうか。阪急伊丹線との競合路線だけに速さだけを優先させて安全管理体制を無視したJR西日本の責任は否めません。

それが証拠に、事故現場の先にある尼崎駅では4月上旬に、平日10日間にわたって1秒刻みの遅延状況調査を行っています。この調査結果は当然運転士の成績や処分の対象となり、無言のうちに強いプレッシャーを掛けていたものと思います。

伊丹駅でのオーバーランが当初8mと発表されていましたが、運転士と車掌が実際の40mを偽って虚偽報告をしたということです。車掌も許せません。

今回事故を起こした運転士は、車掌時代を含めて過去に3度も訓告などの処分を、短期間に受けていると聞いています。JR西日本は、運転適正検査も通っており問題はないと言っていますが、適正検査だけの問題なのでしょうか。

自動車の運転においても、たとえ適性検査に合格して免許をもらった運転手であれ1年未満であれば「若葉マーク」をつける義務を負います。ましてや、何百人、何千人という人の命を預かる電車の運転士が1年の経験もない状況で、たった1人で運転席にいるなんて誰が想像できますか。

私は、昨日の記事の中で、『運転士1人というのではなく、例えばJRの現役の運転士を副運転士としてダブルで同乗させるのは無理であるのかもしれませんが、OBの方を補佐として運転席に同乗させるような方法を取ることができないものであったのか』と書きました。

今日、JR西日本は、事故再発防止のため、本日から急遽運転士の横にベテランの指導員をつける「添乗指導」を開始したとのことです。

やればできるじゃないですか。 どうしてこんなことになる前にやらなかったのでしょうか。

しかし、この「添乗指導」も運用は現場まかせで、いつまでやるのか、何人を対象に行うのかも決まっていないらしいです。やはり、根本的な体質は変わっていません。

こんなことでは、ほとぼりが冷めた頃になると、また大事故が発生するのではないかと懸念するのですが・・・・・

こう思うのは私だけでしょうか。

JR西日本の3首脳(垣内社長、南谷会長、井手相談役)が揃って引責辞任することになりました。安全管理体制を軽視した経営陣の責任は重く、当然の判断であると思います。