今日の日経新聞から

政府は企業の資金繰り不安を和らげるため、日銀に対して金融機関が企業のCP(コマーシャルペーパー)を買い取る支援策を導入するように求めています。

現在は金融機関が保有するCPを日銀は担保にとって資金を貸し出していますが、最終的には日銀はCPを金融機関に売り戻す条件がついています。 

従って企業のCPが債務不履行になると金融機関が損失を負担しなければなりません。

今回の政府の要請が導入されれば金融機関は安心して企業のCPを買い取ることが出来、企業も資金調達が容易になります。

しかし、この制度を導入すると、CPが債務不履行になった時に今度は日銀はリスクを負担することになります。このため、日銀は損失リスクのある資産の購入には慎重で早期に実現するかどうかは不透明とありました。




バングラデシュ生まれの経済学博士、ノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌスは、著書「貧困のない世界を創る」の中で、バングラデシュが新たな国家となった1971年の翌年に米国から帰国し、米国で学んだ経済学の理論を母国の発展に役立てようとしましたが、圧倒的な饑餓と貧困の前にこの経済理論がまったく無力であることを痛感しました。

ところが、著者はわずかなお金でも多くの貧困を救える術を発見し、83年にグラミン銀行を設立、貧困者に対する無担保・小額融資(マイクロクレジット)を事業として拡大しました。

貧しい人は信用出来ないという既存の銀行ルールを打破し、貧困克服には大規模開発による雇用機会の創出が一番という経済理論に達したのでした。

その結果、700万人もの貧困層の村民たちにローンを組みその返済率はなんと98.6%もの成果を生み出しました。

また、電話を見たこともない貧しい人たちのために村の女性達に携帯電話をマイクロクレジットで販売、その女性らがテレフォンレディとなって村民に携帯電話を貸し出し通話サービスを提供する事業にも挑みました。「あなたは狂っている」と言われながらもその試みが成功したのは著者のグローバルな貧困対策の現れに他ならないでしょう。

立命館大学教授の高橋伸彰氏は、「自伝的要素もある本書をひもとき著者の豊かな発想力と機敏な行動力を知れば、貧困のない世界が決して夢物語でないことを理解できるはず」と解説しています。

 ――「貧困のない世界を創る」ムハマド・ユヌス著、猪熊弘子訳、早川書房 2000円






総理も、政府も、野党も、官僚も、日銀も、金融機関も、みんなこの本を読んで既成の経済概念を払拭し、一丸となって日本を救える新たな術を考え出し、今の日本の経済貧困や企業の雇用の悪化など、この荒んだ金融恐慌時代を克服する智恵を絞ってもらいたいものです。