ボタン鍋〜イメージから食わずギライじゃありませんか?
全国有数のイノシシの猟場として知られる丹波地方で今月15日に猟の解禁日を迎えました。猟期は2月15日まで、この間は生肉が供されます。
イノシシの狩猟は、猟犬でイノシシを追い込み逃走路で待ちかまえて撃つ「追い山猟」が主流で、地元で一番イノシシの取り扱い量が多いイノシシ肉専門店 「おおみや」さんには期間中2千頭ものイノシシが持ち込まれるといいます。
今年はシイの実やクリなど山のエサも豊作で大物が期待出来そうだとか。木の実類をエサにして成長したイノシシは、その肉が香ばしくなるそうです。
解禁日からちょうど1週間経過・・・さっそく丹波へ出掛けボタン鍋を堪能してまいりました。
私の馴染みのお店は、篠山市二階町の交差点角にある「懐」さん(文末に住所と電話を掲載)です。
いつものロース上鍋。 一人前5250円。 写真は二人前です。
先代さんが切り盛りしていた頃に、「ウチから一番いいシシ肉を持って行くお店」と、おおみやさんから直接聞いたことがありましたが、先代からお店を引き継いで1年になる若い新店長さんは――
昨年、お店を受け継いだ頃には、若輩ゆえに、おおみやさんにナメられないようにと必死だったようですが、今年はおおみやさんの方から 「いいお肉を確保してあげる」と言ってくれたそうです。
若い店長さんの心意気が、おおみやさんに伝わったのでしょうね。
そして、こちらがそのお肉です。
12月の後半くらいになるともっと冷え込んで脂も乗るのですがと、店長さんは言われますが、今でも十分に美味しいお肉でした。
ボタン鍋を初めて食べた頃に、先代のマスターからシシ肉についていろいろ教えて頂きました。
シシ肉には、ビックリするほどの白い脂身がついていますが、シシ肉の場合はこれは不飽和脂肪酸なのでここが一番美味しい部分であると教えてもらいました。
豚肉の脂身があんなについていたら、普通はその部分を外して食べますが、他の肉の脂身とは違い、シシ肉の場合はこれが分厚くついているほど高級な肉で値も高いのです。
また、普通の肉は長く煮ると硬くなってしまいますが、シシ肉の場合は、長く煮れば煮るほど柔らかくなります。だから、ぼたん鍋で、一番最初に鍋に入れる具材はシシ肉なのです。
それから、イノシシは野生なので獣臭がするのでは、と思っておられませんか? 他の野生の動物とは違い、とても柔らかくて獣臭がしないのがイノシシの肉の特徴なのです。
特に最初に上質なシシ肉を食べさせてくれるお店を選べばそんな懸念は払拭されます。少なくとも、私の通うこのお店ではそんなことはありません。鍋の中は最後までアクも出なければ、脂もギラギラ浮きません。その上まったく、くどくないのです
お店ごとに味が違いますが、これは秘伝の味噌仕立てのダシの違いによるもので、これがボタン鍋の基本的な味の決め手となります。赤味噌や白味噌、こうじ味噌などを合わせ、酒やみりん、ショウガ汁、昆布ダシや鰹ダシ等、十数種類の調味料を合わせます。 秘伝のおいしいミソ仕立てのダシで食べさせてくれるお店を選ぶことが大事です。
ボタン鍋にはヤマノイモ、白菜、ネギ、大根、ゴボウ、シイタケ、エノキ、人参、キクナなどのたっぷりの野菜とコンニャク、豆腐を使います。特にゴボウはシシ肉のクセを消してうまさを引き出す効果が得られますから必ず添えられる具材です。
薬味に粉山椒を振って食べると、体はあったまり、本当に美味しく頂けます。
最後に残った汁にウドンを入れて頂くと、これがまた美味しいんです。
それまでにお腹はそこそこいっぱいになっているので、ウドンは1玉だけ頂きました。
いい味に、最後の汁まで全部完食です。
シシ肉の一番美味しい時期は最高に脂が乗った12月の終わりから2月の始めです。
イノシシは寒い冬に備えて身に脂肪をたくわえますが、丹波地方は寒暖の差が大きいため、その分たっぷりと脂肪をまといます。これがこの地方のイノシシが美味しいと言われる所以(ゆえん)です。
この時期に猟師さんは、氷を持って山に入ります。
そして、捕獲できたら、間髪を入れず内臓を取り出し、そこにその氷をつめて体温を10℃以下に急激に下げるのです。
そうすることにより、シシ肉独特の臭みが出なくなります。
谷筋で捕獲した時には、やはり内臓を取り出した後、すぐに冷たい谷川の中に放り込みます。
2才後半から3才の雌で、子を産んでいない、つまり処女のイノシシが一番美味しいと先代のマスターに聞いたことがあります。
店長さんの家で穫れたというマツタケをサービスで頂きました。
最後のウドンの中へ入れて頂きました。
店長さん、ご馳走様でした。
猟が終わらないうちに、もう一度お伺いさせて頂きたいと思います。
マツタケ、どうもありがとうございました。
● 郷土料理・季節料理「懐」(カイ)
ボタン鍋(できれば5250円のロース上鍋を食べて見て下さい)
?:0795-52-7773 兵庫県篠山市二階町58
木曜定休 11:00am〜9:00pm
※もしこのお店に行かれるときには、
. 神戸の duo のブログを見て来た と、
. 伝えていただけたらとても嬉しいです。