生鮮食料品から飛行機の移動に至るまですべてにCO2排出量ラベルを添付

政府は消費者が一目でCO2の排出量が一目でわかるように商品やサービスにラベルをつける制度の普及を目指しているという記事を先日神戸新聞で見つけました。

対象となる商品やサービスは野菜や魚などの生鮮食料品を初め、加工食品、日用品、家具から、宅配便の利用や鉄道、飛行機の移動までさまざま。

「輸入物の魚よりも近海物のほうが排出量が少ない」など、消費者が購入時に比較してCO2排出量の少ない商品を選べることを期待していると言います。

農林水産省経済産業省環境省などで具体的なルール作りを進め、原料の調達から加工、廃棄までに使用した石油の使用量などを基に、C02排出量を算出する手法を標準化し、製品につけるラベルの在り方を検討するとしています。


こうなると迷惑するのは民間企業です。 当然メーカーは政府が安易に決めたラベル制度を明確化しないといけません。

それが一次製品ならまだ計算しやすいでしょうが、二次製品、三次製品となると複雑この上ありません。

例えば、養殖ウナギの蒲焼きを例にとってみると――養魚場で管理中に排出されるCO2、ウナギ生育のための飼料が原料から飼料になるまでの間に排出されるCO2、混合飼料ならそれぞれの原料ごとに栽培から収穫までに排出するCO2、そのウナギが輸入物だと輸送に関わるCO2、国内での移送時に排出されるCO2。

そして蒲焼きにする段階で焼くための燃料が排出するCO2、タレに使っている各植物原料の栽培さから加工されるまで、更に蒲焼きのタレが出来るまでの間に排出されるCO2、出来たタレの移送に関連するCO2排出・・・まだまだ、キリがありません。これらを全部それぞれにはじき出して合計したものがラベル表示されることになるわけです。

一体そんな複雑な算出過程を標準化できますかねぇ?どうしてこんなアテにならない数字を追っかけて思いつきのようにムダなことをやろうとするのでしょう。

単に広報のなかで、「○○国のウナギが原料の場合は輸送費まで入れてこのぐらいのCO2排出量になりますよ。それが国産の場合だとこのぐらいになります」と、大体の数字を発表すればすむことじゃないのでしょうか。

どう考えても、これをラベル制度にするなんて、流通を無視した民間企業を圧迫するまったくバカげた制度としか言いようがないでしょう。そう思いませんか?


これとは別に政府は食品全般について流通経路の追跡を可能にするトレーサビリティ(生産履歴)制度を導入する新法を2009年以降に制定する方針を打ち出しています。新法は食品業者に生産、加工、流通、販売記録の保管を義務づけ消費者目線の行政実現へ向けた行動計画です。

こちらも業者にとっては、低開発国からの輸入品についてはトレーサビリティが取れないという不安がありますが、まだCO2排出ラベルに比べると実用性はありますよね。