ややこしい郵便貯金 〜 キャッチフレーズは「1人を愛せる日本へ」

郵便局がややこしくなります。

特殊なことはともかく、一般的な預金(貯金)の注意点を見てみましょう。

そもそも、預金名称が、過去の公社の旧名称と民営化後の新名称が似通っていることが余計ややこしくしているのです。

考え方としては、公社時代のものは貯金、民営化(ゆうちょ銀行)後は預金と置き換えて考えれば分かりやすくなります。この方法で簡単に流れを書いて見ます。

以下便宜上、預(貯)金となっている部分は正式名称の貯金に置き換えて下さい。

1.先ず基本的には、通常郵便貯金、通常貯蓄貯金以外のものは、ゆうちょ銀行に引き継がれません。引き継がれるものはこの2つです。
 通常郵便貯金 → 通常預(貯)金
 通常貯蓄貯金 → 通常貯蓄預(貯)金

2.定期性の貯金は、管理機構に引き継がれます。新しく入金はできません。払い出しのみとなります。(例外:積立貯金についてはその預け入れ契約が満期になるまでは入金できます)

3.一部の定期性貯金については、新しいゆうちょ銀行に似たような預(貯)金サービスができます。
 定額郵便貯金 → 定額預(貯)金
 定期郵便貯金 → 定期預(貯)金
 自動積立定額郵便貯金 →自動積立定額預(貯)金
 自動積立定期郵便貯金 →自動積立定期預(貯)金
 満期一括受取型定期郵便貯金 → 満期一括受取型定期預(貯)金
 ニュー福祉定期郵便貯金 → ニュー福祉定期預(貯)金
 財形定額郵便貯金 → 財形定額預(貯)金

 積立郵便貯金 → 廃止
 住宅積立郵便貯金 →廃止
 教育積立郵便貯金 → 廃止
 国際ボランティア貯金 → 廃止
 介護定期郵便貯金 → 廃止

これらのうち、廃止となっているもの以外は、ゆうちょ銀行で新サービスを受けられますが、新しく通帳を作る必要があります。そしてその時に本人確認書類が必要になります。

本人確認書類は、民営化後(10月1日以降)に作った普通貯金通帳またはキャッシュカードがあれば、それを呈示することで今後の本人確認書類は不要となり、今までのように証書や通帳を作成するごとに提出する必要はなくなります。

それから、通常郵便貯金、通常貯蓄貯金については前にも言いましたように新しいゆうちょ銀行に引き継がれるため、政府保障はなくなります。 一般の銀行と同じように元本1000万円までとその利息が保護されることになります。(公社時代の9月30日までに預けてある定期性貯金は政府保障が継続されます)


預貯金についてはお分かり頂けましたか?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ゆうちょ銀行の送金手数料なども大きく変わります。

一般の都市銀行などと同じように、3万円が基準となり、3万円以上は今まで不要だった印紙代が新たにかかるため、おおむね200円が上乗せされます。

. . . . . . . . . . 3万円未満 . . ..3万円以上
窓口での振込 . . . . .120円 . . . . . 330円

ATMでの振込 . . . . . .80円 . . . . . 290円

窓口での電信振込 . . .525円 . . . . . 735円

ATMでの電信振替 . . . .無料 . . . . . .無料
(ぱるる口座間振替) . . . .(2008年9月末まで)

普通為替 . . . . . . .420円 . . . . . .630円
 . . . . . 
公共料金の振込 . . . . 30円 . . . . . .240円


このほか小額送金に重宝してきた定額小為替ですが、従来1枚につき10円だったものが1枚100円と、いきなり10倍になります。


送金手数料は今までに比べ大幅に値上がりすることになりますね。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





風通しがよくなる一方で、利益追求を優先し、結果として元小泉首相が描いたとおりに動いていくのかどうか非常に不安です。

また、民営化することで郵便ポストの道路占用料が自治体によって徴求されるようです。

3月末現在のポストの数は19万2,300本。1本あたり年450〜6200円で民営化後に郵便事業会社が負担しなければならない金額は1本2千円として年額4億円になるということです。(日経) 

2006年度の郵政公社郵便事業の純利益が18億ということですから、負担が重くなりすぎるとポストの削減につながりかねません。なにしろこれからは民間会社なんですから。

過疎地では、年金のつけ込みや払い出しなど従来のサービスが既に一部なくなり、足のないお年寄りたちの悲鳴がもうすでに聞こえて来ています。

本当にこれでよかったのでしょうか?


今までの緑の制服から紺地にオレンジのラインの入った服装に替え、「1人を愛せる日本へ」のキャッチフレーズを掲げて、新しい郵便事業会社はいよいよ本日、10月1日からスタートです。


「1人を愛せる日本へ」・・・・・看板に偽りなきよう願いたいものです。





写真は朝日新聞さん、神戸新聞さんからお借りしました。