竜鳳凰錦手黄地杵型細長花生 〜その?

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ちょうど1年前の3月半ばでした。

「竜鳳凰錦手黄地杵型細長花生」と名前のついた
高さ50cm、直径17cmもある大型の花瓶を衝動買いしたのは・・・


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今回、娘の友人の出産祝いを買いにデパートに
出向きました。

お祝品を買った後、いつものごとく大好きな陶磁器
のフロアへ自然と足が向かいます。

深川製磁のコーナーでは、売り場のお姉さんと親しくさせて頂いている関係で、その前を通るといつも向こうから見つけて下さって声をかけてくれます。

そんなわけで、いつも営業の邪魔をしているので、
今日は、その前までは行かないようにしていました。

ところが、近くの他社のコーナーで目の保養をしていた
ところ、めざとくお姉さんに見つけられてしまいました。

「duoさぁん・・・duoさぁん」と、駆け寄って来られて、
「本当にいいところへ来てくれました」
そう言って、深川製磁のコーナーに連れて行かれました。

「1年前に買って頂いた大型の花生の絵付けをしている
伝統工芸士が来ていて、たまたまその絵付けの実演を
やっているので、是非見ていってほしい」とのことでした。


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作業台の横においてある肩書きには

 伊万里・有田焼伝統工芸士

 小杉 優 . . 雅号 「優 春」

 昭和27年 佐賀県伊万里市生まれ
 昭和43年 深川製磁入社
 昭和47年 佐賀県立有田工業高等学校デザイン科卒
 昭和57年 九州山口陶磁展 通産大臣賞受賞
 平成元年 伊万里・有田焼伝統工芸士認定


 とありました。

伝統工芸士とは、工芸品の製造に12年以上従事し、高度な技術・技法を保持する技術者のうち、通商産業大臣の認定資格制度に合格する者を「伝統工芸士」といいます。

伊万里・有田焼にかかわる伝統工芸士さんは、ろくろ部門、加飾部門合わせて平成17年度は82名の方がいらっしゃいます。そして「ろくろ」、「下絵付」、「上絵付」のそれぞれの得意部門で、高度な技法の伝承と新たな技術の研鑽に取り組まれておられます。

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ちょうどこの日、小杉優さんは我が家の床の間に飾ってあるのと同じ花生に、下絵を描かれているところでした。

深川製のすべての龍の画、鳳凰の画はすべて小杉優さんが描いておられるとのこと、当然私の家の花生もこの方の作品です。

見ていると、下描きなしに細い筆でいきなり描いておられます。「下書きは描かれないのですか?」と、思わず聞きました。

全体のバランスをとる骨格はひょうたん炭で和紙に描いたものを裏返しにして、作品の表面に押し当て、写し画をするらしいですが、気の遠くなるような細い無数の線やきんとん雲、龍の玉などの飾り部分などは、1本1本ご自分の感性で描いておられるので、それぞれの作品は若干異なるそうです。

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作品が仕上がるまでには、先ず素焼きをし、次に釉薬をかけて焼き、それに下絵付けをして焼き、更に上絵付けをして焼き、合計4回も焼き上げます。

深川忠次により創立された明治期の意匠は、伝統工芸士さんの手によって大切に守り続けられているのです。

最後に、小杉優さんからお名刺を頂いて、一緒に記念写真も撮らせて頂きました。

どうぞこれからも素晴らしい作品を創り続けて下さい。


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